貧血(真田)

これ以上は耐えられないと。
休み時間に入ってすぐに、友人に保健室に行く事を告げて教室を出た。
出たはいいけど、波のように押しては引くお腹の痛みに。
クラクラする貧血で、保健室がかなり遠く感じてしまう。
付いて来て貰えば良かったと、悔いてももう遅い。
フラフラと、壁に手を付きながら歩いていると。
地面が目前に迫っている事に、気が付く。
「何をしておる」
「さなだくん」
「顔色が悪いな。たるんどる、不摂生をしておるからだ」
一方的な言葉はキツいのに、片腕で難なく抱き止めてくれているのは、さすがというべきか。
回らない思考で、ぼんやりと見上げれば。
「え?!ちょっ…!」
「大人しくしておれ、その調子ではいつまで経っても着かん」
まさかのお姫様抱っこに、瞬時に頬が紅くなるの自覚する。
小さい声でお礼を告げれば、「気にするな」と一言。
そうして、連れられて行かれた保健室は誰も居ない。
「寝てれば大丈夫だから、ありがとう」
「帰りは送って行くから、寝ておれ」
「え?!」
「お前を送って戻るぐらい、たいしたことない。大人しく、待っておれ」
くしゃりと頭を撫で、優しい笑みを一つ残して教室に戻って行く。
厳しいだけじゃない一面を。





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