-7-

約束の日。
終業式を終えると、つばさは1通のメールを送り、いつも通りに家に帰る。
幼い頃から両親は海外に行っており、兄妹仲良く暮らして来ていた。
この春に、長兄が就職をした事により家を出たが、つばさの生活に変わりはなく。長兄が居なくても、幼馴染み達が助けてくれているので、問題はない。
朝から次兄の大地は出掛けていて、戻らないと予定ボートに書かれており。
すぐ上の蒼空は、麻緋とデートした後に幼馴染みで親友である黎と夜遊び宣言をしていた。
柳には、自宅住所をメールしてあるので、来るまでを怠惰に過ごしていた。
夕飯を作るのが面倒であったが、昼を抜いて寝ていた為に作ろうとして。
「寝起きに作るのは、危険」
ぼんやりしていて、中身をこぼしてシャワーを浴びる事になり。
シャワーを浴びて出れば、チャイムの鳴る音が響く。
「はいはいっと……。お久し振りですね、どうぞ」
玄関を開け、柳を迎え入れる。
「ごめんなさい、ちょっと適当に座ってて下さい」
リビングに案内してから、キッチンに向かうと手早く片付けお茶を用意してリビングに戻る。
「さて、と。とりあえず、話を聞く前に私の話を聞いて貰えますか?」
お茶を差し出し、つばさはニッコリと微笑んで言う。
「ああ」
「先ずは、ウチの兄貴達が迷惑を掛けてごめんなさい」
「いや、大丈夫だぞ」
「そう言って頂けますと、助かります。さて、この口調に付いてですが。別段この口調に意味はありません」
「意味はない?」
問い返す柳に、笑って頷くと指を唇に当てて。
「あの時、口調を改めても良かったんです。けれど、それをしなかった事に意味があるんです」
楽しそうに笑いながら、つばさは言うが柳には意味が分からずに首を傾げる。
そんな柳に、ますます楽しそうにつばさは笑うと。
「私にとって大事だったのは、蓮二に距離を置こうと言われる事にあるんです」
「それは、付き合いを止めたいという事か?」
「違いますよ。蓮二を独占したかった。それだけですよ」
ニッコリと微笑んで告げる言葉に、柳は驚く。
そんな柳に、緩く首を傾げると。
「意味、わかりません?私、この1週間近く蓮二の思考を独占してたと思うんだけどな」
砕けた口調で言うつばさに、その意図にようやく柳は気が付く。
それは、まさにつばさの言う通りこの1週間近く、柳の思考はつばさに占められていた。
「気が付いたみたいだね。別に、柚月姉達にバレた時に、全部話して普通にしても良かったんだけど。それじゃツマンナイし、どうせなら蓮二を独占したいなって思って。で、舞台は出来上がってたから、実行するしかないって」
言いながら柳に近付くと、目の前に立ち。
座る柳を、静かに見下ろしながら言葉を続ける。
「私は、性格良くないし。こういう事するし、振り回す。それでいて、構って欲しいの。甘えたくてするんだよね。だからね、それでもいいかな?」
「データ通りには、いかないな。全く、つばさには本当に振り回される。だが、嫌ではないよ」
抱き寄せ膝に座らせると、優しく髪を撫でてやり額にキスを1つ。
そんな柳に、嬉しそうに笑うと首に腕を回して抱き付く。
「大好き蓮二」
「俺も大好きだ」
「蓮二、蓮二」
ぎゅっと抱き付き、擦り寄り甘えるつばさに苦笑しながらも笑って抱き締める。
「夏休みは、いっぱい遊ぼうね」
「そうだな」
「部活、頑張ってね」
「ありがとう、つばさ」
ゴロゴロと甘えながら、話すつばさに頭を撫でながら、1つ1つに答える柳。

[*prev] [next#]

[ 戻る ]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -