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1学期の期末考査を終えた夏休み間近、テストを終えた解放感と夏休みが迫っている事に、大半の生徒は浮かれていた。
そんな中、つばさは数人の少女に囲まれていた。
「一体、何ですか?こんな所に呼び出して」
「生意気な子ね。先輩に対する口の利き方を知らないの?」
「尊敬出来る先輩でしたら、敬意を評しますが。生憎、尊敬出来ない人に敬意を評する事は出来ないんです」
「それが生意気だっての!」
淡々としたつばさの言葉に、一人が手を振り上げるが。
「そう易々と叩かれるとでも?私には、そんな趣味はありません。手を出すのでしたら、相応の覚悟をして下さい。ああ、私は高等部生徒会の方々とは、幼馴染みですよ。彼等は私を妹として可愛がってくれてます。ちなみに、陸斗は親友です。蓮二が恋人ですよ」
振り上げられた手を掴み、冷ややかに一気に言い放ち。
少女をグルリと見ると、幼さを残す表情は嘲るように、笑う。
それが少女達を刺激するが、それすらも理解した上で、つばさは笑みを浮かべ。
「こんな事をして意味がありますか?幼馴染み達には、恋人がそれぞれに居ますよ?蓮二に関してなら、私にどうこうするよりも直接好意を示した方がいいじゃないですか」
「そんなの、アンタが別れればいいだけでしょう」
「そうよ!不釣り合いなのよ!」
「アンタみたいな子供!」
口々に喚く少女に、憐れみの視線を向け息をゆっくりと吐き出す。
「私は子供ですよ?ほんの半年前は、小学生でしたからね。不釣り合いですか、確かにそうですね、釣り合ってるとは思いません」
頷き答えるつばさに、我が意を得たりと口々に別れろと、少女達は言うがつばさは緩く首を傾げるとゆったりと口を開き。
「お断りいたします。」
拒絶の言葉を口にする。
真っ直ぐに相手を見据え、つばさは毅然とした態度を崩さない。
「大体私が別れたら、この中の誰かが付き合うのですか?それを、貴女達は祝福出来るのですか?それはそれで、ご立派な事ですね。それとも、祝福しながらも後々貶めます?仲良しこよしなんて、反吐が出ますね」
「なっ!」
「一人で何も出来ないような人たちを相手にするなんて、時間の無駄でしかありませんでしたね。これ以上は、話になりませんので失礼致しますよ。ああ、言っておきますが。私を貶めるような噂を流そうとしてもムダですよ?何度も言いますが、私はこれでも幼馴染み達に可愛がられてるんですよ。蓮二の事は口出しをしませんが、それ以外の事には口出ししますからね。彼らは優秀です、ご存知かと思いますが」
微笑を浮かべて一気に言うと、「失礼」と優雅に一礼をしてその場を後にした。
そんなつばさの後ろ姿を、真っ赤な顔をしながらも何も言う事も出来ずに見送る少女たち。
「相変わらず、キツイわね〜」
「まあ、つーらしいけどな」
つばさが去って行くと、まるで見計らったかのように2人の少年少女が姿を現す。
驚く少女達に微笑み掛けるのは、つばさの幼馴染みである2人。
「あの子に手を出そうなんて、無謀にもほどがあるわね。まあ、その勇気に免じて見なかった事にしておくわ」
「柚月姉、寛大だな」
「あのね、陸斗私を何だと思ってるの?」
「え、別に?まあ、つーに喧嘩を売るのは辞めておいた方がいいぜ?見掛けに騙されてるかもしれないが、アイツは冷酷非道だ。自分がやられた事には、徹底的にやり返す」
「それも、周囲に悟らせるような事は一切しないでね」
笑って言う2人の言葉に、少女たちは顔を見合わせて慌てて走り去って行った。
残されたのは、生徒会長である羽村柚月と志野陸斗。
2人は笑ってその場を静かに後にした。

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