03.手を繋いできた君

ベッドから起き上がり、寝室を出ようとすると。
ギュッと掴まれる、左手。
ふと柳が下を向けば、そこにはつばさの右手が左手を握り締めていた。
「つばさ?出来るまで、時間が掛かるぞ?」
「知ってる。でも、せっかくだから起きるの」
柳の言葉に、視線を逸らしながらもギュッと手を繋いで来るつばさ。
握り返してやれば、嬉しそうに視線を向けて来るつばさ。
手を繋いだままリビングに向かえば、柔らかな陽の光が射し込んでいる。
つばさは暖かなソファーにクッションを抱えて、キッチンが見える位置に座り込む。
そんなつばさの髪を撫でてから、柳はキッチンへ。
「何枚食べる?」
「んー、2か3枚?」
冷蔵庫から卵を取り出しながら尋ねれば、首を傾げながら答えるつばさ。
自分の分も踏まえて材料を用意して、作り始める。
手際よく材料を混ぜ合わせて焼き始めれば、室内に充満し始める甘い香り。
ソファーから身を乗り出し、つばさはキッチンに近付いて来る。
「蓮ちゃんが作ると、綺麗に焼けるよね」
「そうか?」
「そうだよ。何か、ズルい」
頬を膨らませながら言いつつも、出来上がるパンケーキに目を輝かせる。
更に載せてから、手渡してやり紅茶を淹れる。
テーブルに付けば、甘い香りのパンケーキと爽やかな香りの紅茶が食卓を彩る。
「美味しそう!いただきますっ」
「めしあがれ」
両手を合わせ、挨拶するつばさに促す柳。

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