2.「何ていうか、お前って本当いい意味で裏切るんだな」


クラスメイトで隣席だったつばさは、見ていて飽きない。
小柄な割りには、負けず嫌いで女の子らしいという位置から、遠い場所に立っていた。
それでも、柳から見れば充分に女ではあるのだが。
テニス部の練習に興味がある割りには、近くで見る事はしない。
柳と付き合い始めても、それを隠すような行動を取る。
何よりも、一番不可解な事は。
「はい、柳。コレ、預かったヤツ」
と、手渡すのは明らかにラブレター。
毎度毎度、ご丁寧にも宅配をするつばさに柳は溜息を付きたくなる。
「何故、お前は持ってくる?」
「ん〜?」
「俺と付き合ってるんじゃないのか?つばさ」
静かな柳の問い掛けに、つばさはウィンナーを口に運び首を傾げる。
そうして、口の中のモノを飲み込むと。
「もしかして、柳。今までのって、開けた事がないの?」
「当たり前だろう」
「そっか、開けた事ないんだ」
「何かあるのか?」
柳の問いに、つばさは静かに開けて読めとだけ答える。
そこには、可愛らしい字でちまちまと書かれた恋心。
しかし、赤いペンで添削が入っていた。
更には、別の用紙にてつばさの字で柳への想いが書かれていた。
「コレ、は・・・」
「どうせだから、赤ペン先生をしてた。んで、私の想いを一緒にしてたんだけど。そっか〜、読んでなかったのか。残念」
つばさの言葉に、告げる言葉を失う。
全くもって、予測不可能な行動。
「何ていうか、お前って本当にいい意味で裏切るんだな」
「お褒めに預かり、光栄ですわ」
柳の言葉に、満面の笑みで答えるつばさだった。

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