1.「予言しよう。お前は今から俺のことが好きだと言う」


中学最後の年、初めて柳と同じクラスになった。
最初の年は、隣りのクラス。
2年は、幸村が一緒という事で少し親しくなれた。
そして、今年。
やっと、一緒のクラスになれた。
そうして、何度目かの席替えで隣りの席を引き当てた。
仲良くなるのは、簡単で。
好きという気持ちが加速するのが、自分でも分かった。
もうすぐで、席替えという日の放課後。
いつものように、教室の窓からテニス部で練習をする柳の姿を遠くから、見詰めていた。
近くで見ればいいのに、とは思っても。
人気の高いテニス部の練習を、近くで見る事はつばさには出来なかった。
遠くで見詰めていられるだけで、充分だった。
それで、満足をしていた。
なのに、こんなにも好きになった恋心は行き場を無くしていた。
好き。と、告げるのは簡単で。
しかし、断られるのが分かっているのに告げるような愚かな真似は、つばさには出来なかった。
「何だ、まだ残っていたのか」
「柳」
教室のドアが開く音と同時に、姿を現したのはまさに今考えていた柳蓮二その人。
スラリと伸びた身長に、涼やかな空気を纏い。
大人びた雰囲気の柳は、意外とお茶目な一面を併せ持っている。
そんな柳に恋をしたのは、仕方がない事であろう。
「何をしていた?」
「ん〜、ボーとしてた?」
柳の問いに、苦笑混じりに答える。
一歩、また一歩と近付いて来る柳に、自然と鼓動が高鳴る。
どうしようもない想いは、告げるしかなかった。
口を開いたつばさを、手で制して。
「予言しよう。お前は今から俺のことが好きだと言う」
「え?」
柳の言葉に、思わず思考がストップする。
「だが、先に言わせてくれないか?つばさ、好きだ。俺と付き合って貰えないだろうか?」
まさかの、逆転ホームランにつばさは目を大きく見開き呆ける。
しかし、柳に抱き締められ耳元で「好きだ」と告げられれば、頷くしか出来ない。


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