3.ふとした孤独の隙間に

恋人と別れてから、つばさの日常は仕事中心となった。
一般社員とは言えない、ちょっとした役職に就いているせいもあるが。
それでも、ほんの少し前までは確かに恋人との生活を楽しんでいた。
会える日は、ほんの少し服装を変えて。化粧も、頑張って。仕事も、定時で上がれるようにしたりしていた。
そう、同僚たちとも恋の話で盛り上がり。同じように、恋に生きていた。
別れてからは、仕事が恋人になっていた。
仕事が嫌いなワケでも、残業がイヤなワケでもない。
ちゃんと毎日が、充実しているのだから。
それなのに、どうして。
「どうした、如月」
「え?」
「珍しく、ため息が多い。それと、」
いつの間にか、隣りに立つ柳に。
座ったままの状態のつばさは、自然と見上げる形になる。
中途半端に、言葉を区切られつばさは首を傾げる。
「頑張るのもいいが、たまには肩の力を抜くといい」
静かに告げて、そっと優しく頭をポンポンと叩かれた。

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