〜あなたの匂い〜 (番外2)

 柔らかな陽の光が、室内に差し込む。
 暖かな陽射しに、つばさはゆるゆると瞳を開く。
「おそよう、つばさ」
「ぅ?う〜・・・はよぅ」
 くつり。
 喉で笑う声に、つばさは目をしばたかせる。
 自分を見下ろす顔と、視線が合う。
「あ〜、蓮二。今、何時?」
「10時半、だな」
「ありゃ」
 大学入学と同時に、先に1人暮らしを始めていた柳の元に転がりこみ同棲を始 めたつばさ。
 中学の時に付き合い始め、喧嘩を時折しながらもココまで続いた仲。
 不思議と、一緒に居るのが一番落ち着くのが柳で。
「蓮二って、いい匂いがするよね」
「そうか?」
「うん、好き〜」
 ゴロゴロと、胸元に顔を埋めて懐くつばさ。
 そんなつばさの背や髪を撫でれば、より嬉しそうに鳴く。
「つばさ、今日の予定はどうする」
「ん〜、蓮ちゃん堪能する」
「何だそれは」
「甘えるのです!」
 いまだに、抱き付いたまま宣言をするつばさ。
 そんなつばさに、苦笑を漏らしながらも反対はしない。
 つばさが、名前を呼ぶようになり。
 甘えたい時に、「蓮ちゃん」と呼ぶようになったのにも、慣れた。
 柳の匂いに包まれながら、つばさは幸せそうに笑う。
 暖かな体温に、安堵を覚える。
 一緒に居るのが、当たり前になった。
 そんな穏やかな休日の朝。

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