「かっこいい」を連呼した/Ver.レッカ


「今日も決まってるね。かっこいい」

なまえは真顔で、うんうんと頷きながら言った。やや首を傾げて眺める角度を変えてまた「うーん、いいね。全方向イケメンというのはどういうことなの?」とこれと至極真面目な顔で言うのである。「弱い角度とかないのかね?」反対側に首を傾けて言うが見つからなかったようで「かっこいいな……」と感心していた。烈火はなまえのそんな様子をしばらく黙って見つめた後、ぐっと親指を立てて勢いよく言った。
なまえを思わず仰け反らせる勢いの良さであった。

「ありがとうッ!! 今日も熱烈なラブコール嬉しいぜッ!!」
「いや、なんのなんの。しかしまあ声も良いと来たもんだ……」
「いつも声出してるからな!!」
「なるほどねえ」

関係あるか? と訝る第一の隊員達を他所になまえは一つ一つ丁寧に烈火星宮という男を褒めていく。顔の形がどうだとか、髪の色艶がどうだとか、体つきがどうだとか、眉毛の形がよくて云々。今日はいつにも増して長く褒めていた。烈火は時々何か口を挟むけれど、基本的にはなまえが喋るのを大人しく聞いている。

「特にその目さ。それ、いいよねえ」

どこがどういいか、例えばどういいか、そんなことを説明し始めたなまえの足が地面から浮いた。「よいしょおおおお!」烈火がなまえの肩を掴んで持ち上げたからである。「うわ」となまえは流石に烈火を褒めるのをやめて、きょとんと烈火を見下ろした。

「んー、と、レッカ? 地面に足がついてないとやや不安になるんだけど」
「なまえ!」
「う、うん?」

すうう、と大きく息を吸い込む音がした。烈火星宮は一息で言う。

「なまえだって髪はさらさらしてるしいい匂いがするし食べ方は綺麗だしなんでも良く食べるしいつも一生懸命だし隊員には慕われてるし誰にも負けない熱い心を持ってるじゃないかッ!!」

突風を顔面で受け止めたなまえはしかし、あまりの勢いに目を見開いたまま動けなかった。ぱち、と烈火が片目を閉じる。彼の眼の中と同じ星が飛んできた。

「つまり、すげーいいぜッ!カッチャ★」

なまえは烈火に持ち上げられたままへらりと笑った。「ありがとう」「おう!」「けれど、烈火。烈火はさらに、」「それを言うならなまえは、」褒め合いは、カリムが二人の周囲を凍らせることでようやく止まった。
その後、カリムはふらふらと持ち場へ向かう二人の背を見ながら「あいつらお互いに顔真っ赤に赤くして目回してたんだが大丈夫か?」と、二人の行く末を律儀に心配したのであった。


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20200813
ツイッターのこちらのツイートから。

 

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