俗に言う/ジョーカー、リヒト


ジョーカー単体でもなかなかだと思うけれど、なまえと揃うと余計に面白い。二人はどうやら、お互いにお互いのことを世間知らずだと思っているようだが、僕からしたらどちらも同じだ。もちろん、僕が世間のことを熟知しているかどうかは置いておくとして。

「リヒトくん、これなんですか?」

遠慮なく僕の研究室に来るのは二人とも同じで、ジョーカーもなまえも「(僕はなまえに)全く興味ないのがわかるから」と安心して出入りしている。
振り返ると作りかけの薬品を指さしているなまえがいた。「ああそれは、」と答えるのだがこれがまた面白くて、なまえとジョーカーは揃って同じ顔をしている。二人はきっと無意識なのだろう。
ひっかかるところも同じらしく、なまえもジョーカーも同じタイミングでことんと首を傾げる。ああ、今日は調子がいいみたいだ。
こういう時、わざと僕が大きく動いて窓の外なんかを指さすと、同じ速度で僕が指し示した方向を見るのである。で、同じ速度で僕に視線を戻し、「……なにかあった(か)?」と不思議がる。
他にもある。
暇なのか気分なのか映画を見ている時、飲み物に口をつけるタイミングが同じだったり、お菓子を摘むタイミングが同じだったり。見入って前のめりになるタイミングまで同じだったこともある。
同じ雑誌を眺めて、飽きて眠るタイミングまで同じだった時には笑いを堪えるのに苦労した。笑うというか、なんというか、机とか椅子とかをバンバン叩きたくなる気持ちだ。

「ねえ、」

今度は僕から声をかけると、二人とも、やっぱり同じように顔を上げる。表情までは同じではないが、なんだか空気(雰囲気?)が一致していて面白い。
なんだか僕は、この二人のこういうところが。

「ふふ、」

どうしてか、大変にツボだ。


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20191102:そして期待通りに、揃って不思議そうな顔をした。

 

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