二度目のおはようはキスの後で/52


なんだかやけに暖かくて気持ちがいい、目を覚ますと、目の前に綺麗な顔の男の子が寝ていてめちゃくちゃに驚いた。……、今日に限ったことではなく、どうにも早く目が覚めてしまったりすると、するりと私の布団に潜り込んでくるのであった。
添い寝で済むならそれでいいが、こうなっているとなかなか離して貰えない。無理やり引き剥がすこともできるけれど。

「52くん、52くん起きて」
「ん……、なまえ……?」
「はい、おはよう」
「おはよう……」

ぼうっとした声で言われて、ぎゅ、と抱きしめ直された。そして私の首筋にぐりぐりと顔を押し付けて「ふふ」と力が抜けた笑い声を漏らしている。いや、かわいいけどだ。

「朝ごはん作るから離してー」
「……」
「寝たフリしない」

ぺしぺしと52くんの体を叩くが効果はない。それどころかより力を込められて抱きしめられて痛いくらいだ。

「朝ごはんいらない?」
「いる」
「なら離して頂かないと」
「もうちょっと」
「ええ? 五分くらい?」
「……、二十四時間くらい」
「寝過ぎで体調悪くなるよ」

と言うか欲望に忠実すぎやしないか。腕を動かして頭を撫でるとようやく腕から力が抜けた。が、すっと出られるかと言われればそんなこともなく。

「よしよし、よーしよしよし」
「……」

ぐしゃぐしゃやっていたら、小さく「もっと」と聞こえて危うくなんでも許してしまいそうになる。なんて子だ。大事に大事に撫で続けるともぞりと布団の中を少し移動して、私と額と自分の額とをこつりと合わせた。あ。碌でもないことを言ってくる気配がする。

「おはようのキスは……?」

ああ、おやすみのキスを額にされたから額を封じている訳だ。考えたな。……うーん。

「おはよう」

未成年の異性と一緒のベッドで眠ったり、キスを強請られて言うことを聞いていたりする時点で色々アウトとは思うのだが、やっぱりあれだ。唇にするのは特別だし、しかし、最近どうも52くんはもっといかがわしいこともしてしまいたい様子だ。それだけは。それは流石にちょっと言い逃れできない。
頬に唇を押し付けると、52くんはまた、やや不満気な顔をしていた。むくれているほっぺをつまむと柔らかい。片方しかない紫の目が私を見ている。

「おはよう」

もう一度言うと、52くんも「おはよう」と、もう一度挨拶を返してくれた。このかわいさ天井知らずでは?うーむ。なんて思いながら、腕から出て布団からも出て。52くんも私に続いたから「寝てていいよ」と言ったのだけれど「なまえが起きるなら俺も……」と目を擦りながら付いてきたから、狭い洗面所で歯を磨いた。


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20200117:52可愛すぎ問題に直面

 

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