家に可愛い生き物がいます/52


可愛い生き物を拾った。明らかに訳ありのようだったから、何も聞かずにお風呂とご飯と、それから寝る場所を提供した。次の日、仕事帰りに遭遇したよく分からない白いヤツらに襲われたが返り討ちにすると、尊敬の眼差しを向けられた。
尊敬の眼差しだった。その時は、たしかに。



それがここまで甘くなるのかと私は膝の上でうとうとしている52くんを撫でながらテレビを見ている。もう夜だから寝るならベッドに行けと三回は言ったが聞き入れられず、私とソファとを縫い付けるように膝の上でゴロゴロしている。

「52くん、」
「ん」

呼ぶと、ぼんやりした顔でこちらを見上げて、ずるずると私の体を登ってきて首に巻き付く。いや、まあ、可愛いんだけれども。可愛いから引き続き頭を撫でると肩口にぐりぐりと擦り寄ってきた。囲い込みが進むなあと思いながらしたいようにさせていると、そのうちハッと、ベッドに運びたいんだったと思い出す。

「52くんてば」
「んー」

かぷ、と首筋に噛み付かれたあと、これでは完全に動物なのだが、その近辺を舐められる。放っておいても良いのだけれど、はあ、と熱の篭った吐息を肩にかけられて引き離す。

「コラ」
「……痕つけるだけだ」
「こんな所にそんなものつけないで……、ほら、ベッド行きなさいベッドに……」
「あんたの?」
「違う、君の」

「……」また肩にのしかかられた。今日は相当だ……、サラッと一人で寝ている時もあるのに……。「52くん、ほら」「……」「担いで運ぶよ?」「それは嫌だ……」のそりと起き上がるが紫の目は不満気で、暗にもっとくっついていたいと言われてるし、加えて、寂しそうにも見えるから心苦しくはある。あるけれども。

「……」
「今日はもう寝ようよ」

52くんは、私の顔の正面で、そっと両目を閉じてやや顔を突き出す。

「ん、」

……。

「いや、どうした?」
「大人しく寝るからキスしてくれ」
「どっっっこでそんなこと覚えてきたんだ……」

しょうがない、その程度で済むのならと頭を引き寄せて額にちゅっとしてあげた。顔を離すとやや嬉しそうではあるのだが、ぶす、と不貞腐れてもいる。

「口がいい」
「……」

ぎゅ、と額の辺りで人差し指を親指にひっかけて引き絞ると、「おやすみ」と直ぐに立ち上がり自分でベッドに向かった。……少し前に発射させたデコピンの痕が三日残ったのが相当こたえているらしい。
いや、しかし。
最初は、こんなんじゃなかったんだけどなあ。


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20200111:軽率にシリーズ化するぞ!(52くん書きたすぎの発作)

 

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