ありがとう世界/リヒト


(お、ラッキー)

屋上へ上がると、更に上で精神統一をしているなまえさんを見つけた。この後どこかに出かけると言っていたから、私服だ。風が吹くと、フレアスカートの中が時々見える。なるほど。青。

(これはいろいろ捗っちゃうなあ)

咄嗟に声を出さなかったのはあまりにも的確な判断だった。祈りのポーズで動かないなまえさんはそこで空気と一体化するように瞑想中。気が済むまで下で眺めて、十分くらいしたあたりで声をかけた。「なまえさん」声に気付いて、なまえさんは気さくに手を振った。

「リヒトくん、おはよう。珍しいねこんなところで」
「うん。ちょっと外の空気を吸いに」
「ああ、休憩? ごゆっくりどうぞ」
「ありがとう、なまえさんも出かけるんなら気を付けて」
「こちらこそありがと、今日占いあんまり良くなかったから気を付けるよ」

占い。なるほど。彼女占いを見るのか。知らなかった情報だ。ならばもしかすると、時々彼女が持っているよくわからないものは、衝動買いではなく、占いに買わされているのかもしれなかった。「じゃあ」と彼女は手をあげたが、ふと、動きを止めて消防協会の、入口の方を見つめる。

「……どうしたの?」
「いや、シンラとアーサーがまた喧嘩してると思って」

言いながら、端の方まで歩いていって下を覗き込む。覗き込んだ瞬間、直ぐに上半身を反らせるようにして下から飛んできたなにかを回避。そのあと、服の前側を押さえるようにぺたりと座り込んだ。なんだ? アーサーくんのエクスカリバーのように見えたけれど。

「すいません! なまえさん、大丈夫でしたか!?」

聞こえてくる声はシンラくんのものだ。ようやく僕にも声が聞こえた。アーサーくんも一緒にいるらしい。なまえさんは「大丈夫だよ!」と叫んでいるが、一向に立ち上がる様子がない。
大丈夫、と言ってはいるがもしや怪我でもしたのかと、なまえに駆け寄る。

「なまえさん? 大丈夫? 本当に、怪我、と、か……」
「あっ」

風でスカートが飛ばされて行った。ん? 飛ばされて行った? そして、なまえさんの可愛らしいお尻が露になり。え、あ、ああ、下着はさっきのアーサーくんのエクスカリバーで前側が切れてしまったのか。幸い体に怪我は無いようで。

「……、…………」

しかし振り返ったなまえさんは胸だけは露にならないようにと切断された服を、押えている訳だが、風が一層強くなって、ばさばさと大きくはためく。その度に、なまえさんの胸やら腹部やらそのさらに下がちらちらと見えて。はっ、いけないいけない、なまえさんも、大人だから叫んだりしないが、ここで僕も大人の男の対応をしないでどうすると言うのか。ええと。だから。

(いやいや、災難でしたねえ、僕の白衣羽織って下さい)
「ありがとうございます!!!!」

何言ってんの。僕。


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20200103:Twitterになげたラッキーすけべられネタから

 

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