獄都事変 | ナノ


君の血の色は何色か/抹本  




肌の色は、佐疫に似ている。でも、佐疫よりずっと滑らかでやわらかい。瞳の色は肋角さんや災藤さんを混ぜたような色。でも、あのふたりとは全く違う光を放っている。厳しくもなく穏やかでもなく、孤高の宝石のような光がある。髪は斬島や田噛、木舌のような黒だけれど、彼女の髪の方が細くて上質な糸みたいだ。体格は俺と同じくらい。性格は、平腹とは気が合うみたいだけど、谷裂とも仲良くしている。誰とも違う、夜子は、たったひとつの美しいものだ。ふと、名前を呼ばれた時、優しくされた時、優しくしているのを見た時、戦っている時、料理をしている時、仕事をしている時、ただ歩いているだけの姿を見た時。入浴している時、トイレに行っている時、部屋でくつろいでいる時、制帽を被る瞬間。あのね、これはあまり大きな声では言えないし、きっと言うべきではないし、言ってしまったら全て終わってしまうとわかるんだけど。えっと、あの、その、ね、お、俺は、「俺は、いつも考えていたんだよ」ナイフとフォークを用意したけど、こういうのは、上品にいかない方が美味しく感じるものだって誰かが言ってた。ベッドサイドに置いたナイフとフォークを放り投げて、俺は俺の頭を彼女の首元に近付ける。

「君の、血の色も知りたいなあ」

夜子は滅多に怪我をしないし、獄卒には生理だってこないんだもん。


-----------
20190114:暁美先生と創作会、性癖あみだA『首に齧り付く抹本』

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -