獄都事変 | ナノ


猫/斬島  




ふわふわとした、髪とは違う髪質。耳のあたりにいつもより柔らかく大きい耳があるのがわかる。聞こえ方も若干違う。俺は佐疫に相談すると直ぐに、前回にも似た事件が起きていたことを調べてくれた。治し方もわかったところで、俺は夜子の前に来た。

「これを見てくれ」
「ああ、なるほどね。佐疫に相談して」

夜子は俺が指さす耳を見ると、嫌そうに顔を歪めて煩わしそうにしている。

「佐疫に言ったら、お前のところに行けと言われた」
「なんで?」
「これは、十分以上撫でていれば取れるらしい」

ははあ、なるほど、と夜子は感心したけれど、自分でやる気はないはしい。じり、と、距離すらとられてしまった。

「木舌に頼んで」
「任務で居ない」
「私以外でお願い」
「何故?」
「猫、アレルギーだから」

夜子は即答した。アレルギー、アレルギー、猫、アレルギー? つまり、俺に生えてきた猫耳を触ってくれることは無い、ということだろうか。

「アレルギー、なのか」
「アレルギーなの」
「そうか……」
「だから他を当たって」
「しかし、」

俺が引かないでいると、夜子がそのうち折れてくれた。「……はあ、」

「わかったから、そこから動かないで」
「! ああ」

帰ってきた夜子は、ゴム手袋にマスクにメガネ、長袖長ズボンの重装備だった。

「その装備は……?」
「猫、アレルギー、だから」
「…………そうか」

思ってたのとは、大分違う。


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20190114:暁美先生と創作会、性癖あみだ『片方に動物の耳が生える話を斬島で』

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