その他夢 | ナノ






「ああ、リオか」

例えば、ぼうっと立ち尽くす彼女を呼びに行った時だとか、眠っている彼女を起こした時なんかにもそう言われる。声をかけているし、姿も見えているから、確認なんて必要ない。だからこれは確認ではない。まず彼女は、なにか、とてつもなく、それこそ我々人類が目にした事の無い、ほとんど理想でしかない完璧に美しい何かを見たように、目を丸くする。その後に、泣き出しそうに目を潤ませて「ああ、リオか」と笑うのだった。

「大袈裟だ、君は」
「どこが?」
「どこもかしこもだ。僕は君にそんな目で見られるような大層な人間じゃない」

なまえはじっと黙ってしまった。「そんなことはない」とありきたりな否定の言葉は言わずに、考えている。別に彼女が僕のことをどう見ようが良いのだけれど、あの声音と視線と表情とが、美しいのが問題だった。ある種の重圧と、喜びとが交互にやってくる。

「しょうがないね」
「おい、考えた結果それか?」
「考えた結果、しょうがない」

なまえには、できるかぎりこれからも、そばにいて欲しいと思う。そんな貪欲な僕と違って、彼女は、ただこの一瞬さえあれば満足だという様子で笑う。

「リオはきれいだ」

そうやって、僕を落とすだけ落として。
悔しいから抱き締めると、ただ幸せだった。


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20200513:ふぉーてぃあの日常を教えてくれ…

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