その他夢 | ナノ






朝から三度、調子が悪そうに左肩を回す姿を見かけた。大丈夫か、と聞いてみると、明日メンテナンスだから、大丈夫だと言っていた。今、大丈夫なのかどうかは答えなかった。少し違和感がある、くらいの不調なのかと思ったが、いつもより座った後に腰が重いし、指先を胸の辺りに当てて深呼吸をしていたりする。僕はとうとう見ていられなくなったから、「ちょっと」と彼女の腕を引いた。返答は聞かずに城を飛び出して。(文字通りの意味だ)少し開けた、森の中に着地した。

「ええと、用事?」
「……君さ」
「は、はい」
「本当はものすごく調子が悪いだろ」
「……良くはない、かな」
「具体的に言うと?」
「か」
「か?」
「体が重くて、関節が痛むし、頭痛と吐き気がずっとしてる」

なまえは力なく笑ったが、僕が無理やり連れ出したからだろうか、じわりと汗を滲ませて、顔色も悪い。こんなになるまで彼女をこき使うだなんて、やはりハイリア人と言うのは自分のことしか考えないやつばかりだ。きっとあの種族は、たった少数の自分より他人を優先する奴らに支えられている。
ここに寝ろ、と膝を叩くと、なまえはやや躊躇ったが、大人しく横になった。それでいい。僕の前でくらいは弱い所を見せれば良いのだ。木の葉の間から差し込む日差しさえ辛そうで、僕はなまえの上に羽を広げて光をさえぎった。
なまえは、大きく息を吸って、吐ききった後、ちらりとこちらを見た。力なく笑う姿にどきりとした。強くて仕方がないなまえを好きになったのに、すっかり弱ったこんな表情さえ艶っぽくて綺麗なものだから参ってしまう。
彼女の体の半分が、ぎし、と音を立てるのを横で聞いていた。彼女のからだから、メドーと同じ音がする。当たり前だ。彼女の身体の半分は古代兵器で出来ている。

「ありがとう、リーバル」
「どういたしまして、なまえ」

ついでに、もっと頼りなよ、と文句を言ったが、なまえは相当気分が悪いのか返事がない。甘えられているのだとわかるが、なにも出来ない自分に腹が立った。ああ、僕ならば、大抵のことはしてやれるのに。その内小さく寝息が聞こえてきて、日が沈む頃、迎えが来た。
なまえはいつも通りに仕事に戻った。


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20190810:リーバルよすぎるやっぱり

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