turbulenceA/ライトニング


彼女の思考を完全に理解するのは難しい。何を伝えて、何を伝えずにおくべきかを考える。しかしどうやら、なまえについての理解は、私よりもウィンディの方が深いらしく、ウィンディを間に入れた方がスムーズに行くことが多い。
つまり、ウィンディと一緒に置いておけば大体の場合問題は無いのである。だが、この日は、そんななまえを借りていくことに決めた。理由は、なまえについて知る為であった。

「なまえを借りていくが構わないか?」

あとからうるさくされても堪らないから、無様にもリボルバーに敗れて傷だらけのウィンディに許可を求める。なまえは嫌がらないということはわかっている。
ウィンディは、赤い目を丸くしてから私に、わかりきったことを確認する。

「こいつは何も出来ないぜ?」
「なにかをしてもらおうというわけではない。少し、用事に付き合って貰うだけだ」
「ふうん…………まあ……、それくらいなら、いいんじゃないか? ……なあ?」
「うん」

ウィンディは少々渋ったが、当のなまえは二つ返事で頷いた。しかしその後、はっと私を見上げて手を合わせた「くれぐれも過度な期待はなさいませんように……」言われなくてもそんなものはしていない。

「では、行こうか」
「うん、じゃ、行ってきます」

かくして、なまえを連れて、ブラッドシェパードを狩りに行く。



私がここに来る必要は果たしてあったかどうか。しかし、懐かしい顔を見られたのはよかった気がする。次に会う時が戦う時だとしても、まあ。元気そうにしているところが見られたから、良かった。
Aiや不霊夢やアクアは、私の姿を確認すると、色々言葉をかけてくれたけれど(「こっちに来い」とか「君は人間を支配したい訳じゃあないだろう」とか「貴女は本当にそれでいいのですか」とか)、私は何も応えずにそっと首を左右に振った。ごめん、とは思う。彼らのことは大好きだ。しかし。私がウィンディを裏切ることはないのである。その逆はあっても、それだけはない。
終わってしまえばライトニングは危なげなく勝っていた。私は一体ここに何をしに来たのだろうか。本当に特に何を言われるでもなく、仁の肩に乗っていただけだ。もしかしてこのデュエルを参考にお前も戦えよ、と言うような……。

「さて、では帰るか。なまえ」

名前を呼ばれて、「うん」と言いながら仁の肩に掴まった。彼らの移動はしがみついていないと振り落とされてしまう。そんな私の姿を確認してからライトニングが、ぐるり、と全員の顔を順番に見る。
プレイメーカー、ソウルバーナー、ブルーメイデン、ゴーストガール、Ai、不霊夢、アクア。それから視線を上にもっていって、スペクターと。……えっ?

「え、なん、」
「なまえ、なまえだと?」

リボルバーは、いつの間にか私の目の前に居た。仁でなく、ライトニングでなく、私に手を伸ばしていた。驚きすぎて、肩なんて狭いところで後ずさったから、普通に地面に落ちた。

「え、なに……?」
「そんな所で、生きていたのか……!」

リボルバーの指先が再度こちらに伸びる。捕まったら、いけない。絶対にダメだと体が叫んで、ようやく、出来損ないのデータストームをぶつけた。そして、無我夢中で声を上げる。

「っ、ライトニング!」
「ああ。みすみす君を奴らに渡す訳にはいかない」

ライトニングに抱えられて、私は仁の腕へと連れ戻された。

「今度は君たちの番だ、楽しみに待っていてくれ」

リボルバー、鴻上了見の、あの言葉、あの目は、一体。
ライトニングを見上げると、「心配するな、確実なことがわかるまで、ウィンディには黙っておこう」と笑っていた。彼の目的はこれだったようだ。なるほど、と私は脱力して、とりあえず「ありがとう」と言っておいた。


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20190124:AIのようなもの。
 
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