風のワールドで戯れる/ウィンディ


風が吹いている。私は、このデータの風が大好きだ。

「楽しそうだな」
「うん」

だから、という訳では無いが、この風のイグニスの事も大好きで、迷惑がられない間合いを考えて隣にいた。サイバース世界がなくなってしまって以来、こんなに草や木が茂った土地を見ていなかったから、私は体に草や土が付くのを構わず転げ回っていた。

「あーあー、お前……、今他のイグニスが来たらどうするんだ」
「大丈夫」
「大丈夫じゃあないだろう」

LINKVRAINSのすぐ側に作られたこの世界で、私たちは他のイグニスを待っている。時々SOLテクノロジーの人が入ってきたりするけれど、ここまで来るには至らない。「君が一緒の方が信頼されやすいだろう」とは光のイグニスと風のイグニスの意見の一致で、私はここについてくることを許可されている。

「ほら、吹き飛ばしてやるよ」
「え、うわっ!」

風の塊が体にぶつかった。確かに一瞬体から葉っぱや砂は落ちたけれど、衝撃で後ろに二三転転がったら、結局いくらか葉っぱがついた。突風の余波が残っていて、私は目を細めて、よろよろと起き上がる。

「ははははは! ちょっとはマシになったな!」
「なってないよこれ……」

私は自分の体を自分で払って風のイグニスに声をかける。

「取れた?」
「アーハッハッハ!」
「ま、まだ笑ってる……、取れてない?」
「はは、はーあ。取ってやるからこっちに来い」
「はい……」

近寄っていくと、また突風で少し吹き飛ばされた。「ちょっと……」起き上がると、風のイグニスはひっくり返って、腹を抱えて笑っていた。私はその辺に落ちている葉っぱをまとめて、風のイグニスに投げつけた。


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20190119:戯れる…。
 
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