さけびごえ/ライトニング


光のイグニスは間違えている。ここには私と彼しかいないから、何に配慮することもないのだけれど、それでも、私は誰にも気付かれないようにと光のイグニスの背中を撫でた。

「私に、特別優しくする必要は無い」

そうは言うが、私には今、それくらいしかできることがないのである。腰に巻きついて腹のあたりに顔を埋めている彼の体を見下ろす。うん、やっぱり、触るくらいしか自由にできることはない。

「なら、君が私に求めているものはなんなの?」

どういうことなんだ、と嘆いていた日々を知っている。こんなことはありえない、と叫んでいた声を聞いた。十億通りのシュミレーションの結果は私もよく知っている。
私なんかが、知ってしまっている。
私だからこそである、と彼は言ったが、私であってはいけなかった。例えばこれが他の誰かであったなら、こうはならなかったかもしれない。彼を助けて救ってあげられたかもしれない。のに。

「ただ、私の特別な友人をしていてくれればそれでいい」

君は鐘のようだと、炎のイグニスに言われたことがある。叩き方によって全く音が違っている。と。褒められたのかわかりにくいと貶されたのか不明だが、これはきっとこういうことだ。
光のイグニスの頭をするすると撫でると、彼は体を起こして、神様でも見るみたいに私を見るのである。

「君が居れば、私は絶対に消えない。どのシュミレーションでもそうなっている」

こういうのを、唯一の友人と言うのだろう? 光のイグニスの言葉に否定も肯定もしないまま、どうしたら、彼を助けられるのか考えていた。


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20190418:どう見ても友達以上
 
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