風のワールドでたわむれるC/ウィンディ


風に吹かれて蜘蛛の巣が揺れたから、私は後ろを振り返った。

「よう」
「ん」

風のイグニスは私の隣に佇んで、また突風を起こす。糸に絡まっていた蝶が飛んで行った。珍しいこともあるものだ。ぼうっと彼を見上げると、彼は「そうだな」と自身の腕のあたりを擦ってから言う。

「色がお前に似てたからな」

蝶は青々と茂った草木の間を飛んでいく。黒っぽい色をしたデータの蜘蛛は必死に糸にしがみついている。この生き物たちは、私たちのことをどう認識しているのだろうか。
ひらりひらりと蝶が戻ってきて、彼の頭に降り立った。

「……それいいね、なんか可愛いことになってる」
「……色がお前に似てるからな」
「ん?」
「ま、お前には似合わないだろうな」
「ええ?」
「行くぞ」

私色の蝶は緑から飛び去って、緑の奥に消えていった。


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20190320:ウィンディとほのぼの
 
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