LINKVRAINSを散歩するC/ウィンディ


名前を呼ばれて振り返ると、ウィンディがひらひらと手を振っていた。「ウィンディ、」私も名前を呼び返して走り寄る、彼は満足そうににいっと笑った。

「散歩に連れてってやろうか」
「……最近みんな一緒に行ってくれるけど誰かに何か言われた?」
「はあ? 俺は言われるまでもなく、元々よく連れ出してやってるだろう?」

きっと何か言われたのだろう。私は「そうだね、ありがとう」と言いながら、ウィンディの隣に並んだ。彼の言う通り、彼はよく私を連れて行ってくれる。なんとなく仲間のような顔をしていられるのは、彼のおかげでもある。(実際は何もしていないとしても…)

「体、調子どう?」
「良くはないが、まあ悪くもないってところか? とは言え俺はあの野郎を同じ目に合わせなきゃ気が済まないんでね。戦う分には問題ない」

そっか、と私は安心するべきか心配するべきか分からないまま微笑んだ。ウィンディは私の頭にそっと触れて、無言で前に進み始めた。頭から離れていきそうな手を名残惜しく思って、私からも手を伸ばす。
もう少しでひらめくマントに届きそうだ、というところで、私は何かに足を取られてがっと体が床に沈む。「ぅわ、」なにこれ。

「ん、どうし……」

ウィンディは振り向くと、ぴたりと動きを止める。城の床が落とし穴になっていて、私はその穴に腰まで落ちてしまった。仁やエコー、もう少し大きい彼らなら躓くこともないような穴だが、私にとっては大穴である。欠陥住宅じゃないか、思いながらウィンディを見上げる。

「助けて」
「は、」

ウィンディは肩を震わせて、「いやお前、」周囲に誰かいないか確認しながら、「なんでそんなもんに」私を指さしていた腕で自らの腹あたりを抱え込んだ。

「はははははははは! なんだそりゃ! いくら急いで適当に作ったとはいえ、そんなことになるか?!」
「実際なったから仕方ないよね……」
「確かにそうだ。そうだがしかし、はは、ほら、掴まれよ」

ウィンディの手を掴むと、忽ちデータストームに持ち上げられた。浮き上がったからだはウィンディにキャッチされて、そっと地面に降ろされる。

「まったくしょうがねえな、なまえちゃんは」

愉快で愉快で仕方がない、とウィンディは私の手を取った。これは散歩だ、と思うのだけれど、ウィンディとの散歩はどうにも特別だった。別の言葉を当てはめたい気がした。気がしただけで、上手い言葉は選び出せなかった。


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20190302:今後了見戦うことはあるのかな
 
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