LINKVRAINSを散歩するA/ライトニング
多分ストレスでも溜まっていたのでは、と私は推測する。
フラフラ歩いているところを彼のオリジンに捕まり、ライトニングのところまで連行された。彼は私が視界に入るなり言った。
「私にも気晴らしというものが必要だ」
「へ、へえ? そうなの?」
「そうだ」
私はしばし考えたが、私がライトニングにしてあげられることと言うのはあまりない。できることと言えば、ううん、ああそうだ。
「なら、そうだなあ……、散歩する?」
「なるほど。悪くない提案だ」
「じゃあどこを、ぐえ」
「行こう」
にい、と目を細める彼は私の後ろ首を掴んで、人間が猫か何かにするように持ち上げた。あれ? 散歩に行くのにこんなことをされる必要が一体どこに。まともに思考できたのはそこまでだ。ライトニングは彼の全力でミラーリンクヴレインズを一周(たぶん)した。
文字通り光の速さで連行され、視界のデータが軽くがさついていた。これ戻らなかったらどうしてくれるんだ。秒でミラーリンクヴレインズを回ってきた私は、ライトニングの手から落とされる。
ぐしゃ、とデータでできた床にぶつかった。
ライトニングはわかってやったらしい、笑みを堪えて私に言う。
「……どうした」
「どうしたもこうしたも……な、なに? もしかしていじめ?」
「いじめてはいない。あれがいじめなら、君は常にウィンディにいじめられていることになる」
「ならないよ! いじめられてないし……ウィンディとはもっとちゃんと散歩になるし……」
「ん……? では今のは散歩ではなかったと?」
「どう見てもそうだよ……」
「ふむ。やってみると難しいものだな」
「難しくないわ……」
「しかし」
「うん?」
「君の今の姿は面白い。私は君の言葉を聞かなかったことにして、また次も散歩に誘うとしよう」
「……? ええ?」
その、綺麗な黄色いからだに吐いても知らないぞ。
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20190221:構うこともある