光に追従B/ボーマン


どうしたいのか。どうするべきなのか。立場とか状況とか展開とか戦術とか、考えなければならないことは山とあるはずなのに、何も考えがまとまらない。本当は何も考えたくはない。
同じ場所に行かせてくれればそれでいい。不霊夢に頼めば、同じ場所において貰えるかもしれない、必要ならデュエルもしよう。彼くらい凶悪そうに見せればいいんだろう?そう難しいことではない。いまの、この、瞬間に比べれば。

「っ、え、」

がつ、と見えない壁にぶつかった。これは。私は震えて振り返る。嘘だ。邪魔をしないで欲しい。私も邪魔はしないから。やっぱり、役に立つこともなかったけど、それならせめて、私は唯一行きたい場所に。

「私が、そんな状態の君を、止めないと思ったのか」

なまえ、とボーマンは私を牢ごと持ち上げた。見えない壁は出口のない檻に変わる。そんな状態、そんな状態? 咄嗟に私はいつも通りに笑ってみせる。

「私は、いつも通りだよ」
「……いいや、そうは見えない」
「離してくれない?」
「ああ」
「どうしても?」
「そうだ」

牢を、鉄格子を両手で掴むが、びくりともしない。下手くそなデータストームを何度ぶつけても傷一つ付かない。私が何をしても、何を選んでも、状況は変わらない。ウィンディは、不霊夢とソウルバーナーに、デュエルで負けて。

「どうして、こんなことに」

どうして、と頭の良くないAIに相応しく繰り返す。どうして。どうして、……どうして? 何度考えても出来たこと、と、今から出来ることが思い浮かばない。牢に縋るようにつかまって、何の役にも立たない力を込める。

「そこにいてくれ、先生」

私は必死に笑ったのに、なんで君が泣いているんだ。


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20190216:どうなるかなあ、ウィンディちゃん…。
 
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