はじめまして強いひとE


不霊夢と再会できたのは大変に喜ばしいことだ。うんうん。だけど。不霊夢と、あと、ついでに尊はどうやら、なまえのことが気になって仕方が無いらしい。なまえはカフェナギに通う人間が増えると見るやいなや、あまり顔を出さなくなってしまった。草薙曰く、「遊作と尊の邪魔をしたくないんだろう」とのことだ。遊作に自分以外の友人ができるのはいいことだ、とかなんとか。それはそうだ。その通りではあるが。

「彼女はどこに住んでるんだ?」
「知らない。デンシティのどっかじゃね?」
「デュエルはするのか?」
「あー、するする」
「ハノイの騎士との戦いには参加していなかったようだが?」
「それはえーっと……」

不霊夢がうるさくて仕方がない。なんなんだこいつは。そんなに気になるなら直接聞けばいいだろうに。いや、やっぱりそれはダメかも。質問攻めされるってことは、俺とは話せなくなるってことだ。かと言って俺がこいつになまえについて教えてやるというのも……、というかそもそも、俺だってそんなになまえについての情報があるわけじゃない。だと言うのに、不霊夢と来たらやれ好きな色はだの好きなカードはだの俺に聞いてくるから面倒くさくて仕方がない。俺も知らない、ということを突きつけられて不愉快だからやめて欲しいのだが。こっそり尊にSOSの視線を送っても、一切取り合ってもらえない。あいつもまた、なまえのことが気になるのだろう。

「次はいつ来るだろうか」
「知らねーっての」
「ん? すまない、今のは独り言だ」
「あっそ……」
「君も彼女との付き合いはそう長くはないんだな」
「まあ……」

遊作や、草薙に比べたら短い時間だ。だが、俺は割となまえと喋ったりすることもあったし、その辺に出かけて行ったこともある。君も、なんて言われるのは心外だ。心外だったから、つい、口を滑らして。

「でも、俺は、危ないところを助けて貰ってるんだぜ」

などと口走ってしまった。不霊夢と尊は目を見合わせて得意気に言い返してくる。

「奇遇だな、私たちもだ」

「ええ……?」俺はそれ以上話していたくなくて、デュエルディスクに潜り込んだ。なまえならそうするのかもしれない。だって、すごく強いから。けど、だけど、だ。なまえのデュエルを見たこともないくせに、助けられた、とそれだけの一致でそんな顔をして欲しくない。


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20190215:Aiちゃん夢…ですから…
 
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