とある平和な世界にてA/不霊夢


最近、なまえはまるで人間の子供のように、いいや、人間にしては少々異常な執着心と熱意で、四つ葉のクローバーを探している。いろんなところに出没する彼女は、今日、私の管理する領域内に訪れていた。すぐさま近寄って、声をかける。

「今日もやっているのか」
「うん。これが案外楽しい」
「そうだな、目的があるのは楽しいものだ」

何度も頷きながら言うと、彼女も少し笑った。

「見つからないけどね……」
「そうか……」
「でもまだ探してみるよ」

ぐ、と手を握って言う。指先には泥がついていた。どうしてそんなに見つけたいのか、聞いてみたいような聞きたくないような。しかし、噂によれば彼女は四葉を風のイグニスにプレゼントしたくてやっているらしいので、理由などほとんどわかっている。

「どれ、私も少し手伝ってみるか」
「ほ、ほんと? あったら風のイグニスにあげるけどいい……?」
「構わない。私が君を手伝ってみたいだけだ」
「ふうん……? ありがとう!」
「ああ」

探し始めると、彼女が言った通り、これがなかなか楽しくて、日が暮れるまで探していた。見つからなかったが、彼女は全く諦めていないようで、じゃあまたね、と手を振っていた。

「なまえ!」

遠ざかって行く背中を止めたくて声をかけた。なまえはくるりと振り返る。

「もし二つ見つけたら私にもくれないか!」

叫ぶと、なまえはふは、と笑った。「これで2本目の予約だから、頑張って三本見つけるね!」とのこのであった。なんたることだ。先約がいたとは。いいやしかし、何と言うか。もし、私が誰より先に四葉を見つけて彼女に見せたら、風のイグニスも闇のイグニスも、さぞ悔しがるだろうな、とぼんやり思った。少しだけ見たい気もして、私はこの日こっそり、もう少しだけ四葉を探した。


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20190127:不霊夢はさあ! 正統派かっこいいんだ! ね!!!!
 
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