15万打リクエスト(10)


タマキのそれは、そういう体質なのだという。曰く、ラッキースケベられ、とかなんとか。俺はわざとなまえが転ぶのに巻き込まれながらどさくさに紛れて尻の柔らかさを確かめた。

「うっ、すいません。新門大隊長」
「いや」

なまえはそれを気にもしねェで起き上がり、もう一度頭を下げた「すいません」「いいや」こうも淡々と謝られると、実は謝らなければならないのは自分のほうであることを思い出してしまって罪悪感が湧かないでもない。
なまえも、タマキと同じ体質だった。タマキとはその体質の話で盛り上がっていたが、なまえは触られることにも見られることにも慣れきってしまっていて、反応がとてもとても悪い。ハンカチでも道に落とした時のような。その程度の反応だった。

「あっ」
「……」

また別の日はどういうわけか後ろに転びそうになったなまえを支えると、狙ってもないのに両胸を鷲掴む形になってしまった。俺も狙って居合わせているのでここぞとばかりにぎゅう、と胸を寄せてみる。結構あるな。
ただ、なまえも馬鹿ではない。

「……支えて頂いたことは、ありがとうございます、なんですけど」
「悪いな。触っちまった」
「いえ、私が触らせてるようなものなのでそれはいいんです」

いいらしい。隙があるやらないやらわからない女である。わからないが、俺がなまえのラッキースケベられとやらに偶然を装って巻き込まれにいっていることはバレたのだろう。「あー」「うーん」となまえは俺に胸を持たれたまま唸っている。
考えがまとまる頃に俺の手から逃れてこちらを振り向く。

「ひょっとしてあれですね、新門大隊長」
「あ?」

新門大隊長は、となまえが指を立てる。

「すけべ」
「……否定はしねェが」
「しかたないですね」
「男だしな」

些か悪びれなさすぎたかとは思うものの、なまえの感情が大きく動くことはない。
なまえは複雑そうな顔でふう、ともふむ、ともつかない声で溜息を吐いた。

「まあ、何かの役に立てて下さい」
「あっ、オイ」

「なかなかの難敵だな」とはどこかで見ていたらしい紺炉の言葉だ。「チッ」お前に対して特別そうなのだと伝えてみたら、何か、変わるだろうか。


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20200525:リクエストありがとうございます!ラク様から『スケベられ体質の夢主と若』でした〜!

 

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