15万打リクエスト(9)


「なまえさんって、どんな男の人がタイプなんですか?」

地面と平行に爆弾を投げられた。私はそれを受け止めたが、あえなく爆発。そしてその爆音を聞いて私の背後には二人の男性が音もなく立った。マキはにこにこと笑いながら答えを待っている。私の後ろに来た二人、カリム中隊長と新門大隊長は同時に私の肩に手を置くのである。酒の席だから、皆距離が近い。

「俺も、お前の好きな好みってのは気になるな」
「ズバリこの中で言うとどいつがタイプかで言ってもいいぞ」
「あ、それいいですねえ。なまえさん! 今ここにいる男性で言ったら誰がタイプなんですか?」

二つ目の爆弾は頭に受けた。背後でバチバチとメンチを切り合う二人から逃げたいのだが、正面にはマキ、肩は二人に押さえられていて物理的には逃げられない。それでもどうにかこの事態をなんとかするために頭をフル回転させているせいで酔いが醒めてきた。とてもじゃないが酔って正気を失うことはできないだろう。

「ええっと、うーん、好きな、タイプ」
「好きな人、でもいいぜ。なまえ」
「そうだな。好きな人でもいい」
「好きなタイプなー! どんな人がいいかなー!」

聞こえないフリをする。私は実は、どういうわけかこの二人に大変に気に入られ、ほぼ同時期に告白を、所謂交際の申し込みというものを受けていた。こんなことが自分の人生で起こるとは全く思っていなかったが、実際起こってしまったものはどうしようもない。予想していなかったことが重なりすぎて全く整理がついていない。のに、追い打ちをかけるように後ろの二人の圧は強くなる。
しかし、どうする? 強い人、とか優しい人とか、そういう無難なことを言いたいが、あ、いや、強いはまずいか。

「そうだなあ、私は」
「なまえ」

同時にすぐ後ろで名前を呼ばれて振り返りそうになる。いや振り返ったら正面から掴まってしまう。まだ今の方が逃げられる可能性は高い。「なあ」と熱い息が耳にかかる。これは、新門大隊長だろうか。お酒の匂いもする。「なまえ」今呼んだのはカリム中隊長だ。酔いは醒めたが思考回路はショートした。

「と、年上の人が好きかな!」

ぴし、と後ろ二人が固まった気配を察知して、二人の手から逃れる。「そうなんですねえ〜年上か〜」とほわほわするマキを置いて、私はダッシュで逃げた。本当に、私はあの二人のうちどちらかを選ばなければならないのだろうか。全くもって、出来る気がしない。


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202005:ありがとうございました!影母様から『カリムvs紅丸の22歳組』でしたー!

 

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