15万打リクエスト(5)


見慣れているような、見慣れていないような複雑な気持ちで「居たのか」と驚く。なまえはしかし、こちらなど気にもとめずにきょろきょろとしているのだ。
隣にそうっと寄っていって、どうした?と聞いた。

「ん、ああ。紅。かくれんぼだよ。ヒカゲとヒナタとあと紺炉さんと遊んでる」
「あ? なんで紺炉も入ってんだ」
「流れで」
「流れだァ?」

ヒナタヒカゲと遊んでいるだけならわかるが、紺炉も入っているのなら、俺が呼ばれても良いはずなのだが。なまえは「あ」と言い、建物の影で小さく動いた影を見逃さなかった。
かなりのスピードでそこに突っ込み、小脇にヒカゲとヒナタを抱えて出てきた。

「ヒカがうごくからだぜ」
「うごいたのはヒナだろ」
「いや、さすが私ってことで」
「こんろはどうした?」
「こんろのやつもくわれちまったのか?」
「食べないやい」

けらけらと双子は笑いながら、なまえは紺炉がどこにいるのか分かっているらしく詰所の裏の方へ回る。悠々と掃除をしていた。あまり隠れる気はないようだった。なまえがヒカゲとヒナタを地面におろし「突撃!」と紺炉に指を指した。
ヒカゲとヒナタは頭から紺炉に突撃し、紺炉はそれを受け止めている。

「はい、かくれんぼ終わり!」
「悪いな、付き合わせて」
「いいえ。それじゃあ帰りますね」

なまえは笑ってその場から逃げようとするので今度は俺が「オイ」とヒカゲとヒナタをけしかける。なまえは避けずに「ぐえ」と背中で二人を受け止めていた。

「なまえ、こんどはわかもあそぶってよ」
「なまえ、つぎはぜってえギタギタにしてやるからな」
「……遊ぶの?」

なまえがヒカゲとヒナタの頭を撫でながらこちらを見る。「若」と紺炉が言った。遊びたかった訳では無いが、なまえを引き止める理由を探していた。
だから遊ぶことにしてしまえばいい。今度は俺も混ざって、鬼ごっこをするのも悪くない。

「するわけねェだろ。馬鹿か?」

なまえはにこりと笑って「じゃあ帰るね」と手を振った。「若……」と紺炉は呆れ果てていた。ヒカゲとヒナタはなまえを見送りについて行った。
相変わらずである。


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20200429:リクエストありがとうございました!しやなぎさんから『紅の幼馴染みと第7のお話』のリクエストでしたー!

 

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