15万打リクエストA


「オイ! なまえに触るな」
「つってもなまえは嫌そうじゃねェけどな?」
「ウッッッソでしょ52が数年後にはこんな事に?
こんなイケメン色気増し増しのお兄さんに? そんなことが?」
「なまえ!」
「よしよし、なまえは変わらねェなあ」

未来から来たらしい俺は、へらへらと笑いながらなまえの頭を撫で回していた。



なまえはでかくなった俺(ジョーカーと名乗っているらしい)の足の間にすっぽり収まって猫のように撫でられている。俺だと「暑い」とか言って直ぐに離れていくくせに。

「なまえ。いい加減にしろよ」
「んー?」
「離れろ。浮気だろそれは」
「でも52だよ」
「俺はこっちだ。それはどう見ても俺を名乗る変質者だ」
「ええー?」

ダメだ全く聞いてくれそうにない。ジョーカーはにやりと笑ってなまえを抱き寄せて侍らせている。クソ。なんで同じ顔のヤツになまえを取られなきゃならないんだ。

「返せ」
「お前は俺だぜ?」
「なまえ、帰ってこい」
「うん。帰るよ」
「返事するならせめて動けよ!」
「んん」

ジョーカーの腕の中が余程居心地が良いらしい。ジョーカーに比べたらいくらか細い腕でなまえの体に巻き付く。「オイ」ジョーカーにももたれることになるが構うものか。このままなまえを奪われていることの方が問題だ。
ようやくこちらを見てくれたのを確認してから、俺はできるだけ弱々しい声で。

「なまえ……」
「……」

なまえは俺の顔を見て考え込んでいた様子だったが、考えてくれたのはたった十秒だった。ぐっと親指を立てて勢いよく言う。

「大丈夫!」

全然何も大丈夫じゃない!俺たちはジョーカーが元の場所に帰るまでの三時間ほど、ずっと団子のようになっていて、めちゃくちゃ汗をかいた。ジョーカーは何故か、とても楽しそうだった。

「大事にしてやれよ」

と、最後に、俺たち二人にそう言い残して、帰っていった。



「やっと帰ったな」
「帰っちゃったね」
「……なまえ?」
「よし。じゃあ私は見回りついでに散歩でもしてこようかな」
「なまえ」

だん、と進行方向を腕で塞いでやった。何事も無かったみたいにしているが、大人の俺に甘えていたのを許せるほど、俺は大人ではない。

「あの、52?」
「お仕置だ。今日明日は外に出られないと思え」
「あ、明日もお……?」

明日もだ、と言うと、なまえは観念したように俺の首の辺りに擦り寄ってきた。そ、そんなことしたってまけてやらないんだからな。


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20200422:リクエストありがとうございました!いちふじさんから『ジョーカーと52くんのサンド』でしたー!!!

 

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