10万打おめでとう/万丈目


え、ああ、そうなの、と、私は笑った。至極なんでもないことのようにへらりと。その表情が気に入らなかったのだろう、準はわなわなと震えて叫ぶ。人の家の玄関先で騒音を立てるんじゃないよこの男は。

「そうなの、ではないわ! その酔っぱらいみたいな笑い方をやめろ!」
「なんてこと言うんだ……、そんなこと言ったら君だってその宇宙人みたいな怒り方やめなさい」
「やかましい!」

やかましいのはお前だ。しかし私は引き際を弁えた人間であるので、ここは一歩譲ってやる。えーと、こいつはなんの為に来たんだったか?

「あー、と、宇宙人が幻のパンとか求めて島に行くんだっけ?」
「なんの話だそれは。オレが、デュエルアカデミアに、行くと言っているのだこのマヌケ!」
「あ、へえー、そうなんだあ」
「繰り返すな面倒くさい!」

デュエルアカデミアっていうとあのデュエルと学業しかやることがなさそうな島に幽閉されて、カードとデュエルディスクの風呂に入り、おかずパンの中身すらドロー力がなければ嫌いなものを引き続け、成績によって寮の等級が決まるというあれのことだ。ははあ。そこに、準が行くと。

「それで?」
「なまえも来い! 話はそれだけだ!」
「えー……、嫌だけど……」
「嫌でも来い!」
「無茶苦茶だそれ」
「無理矢理にでも連れて行くぞ! お前のご両親の許可は取ってある!」
「ああ、用意が良いネ……」

どうしても行かないと言うなら決闘だ! などと言われ、言われるままデッキを出そうとするが、そういえばこの男「私が勝つと泣くじゃん」「な、泣かんわ!」いや、絶対嘘だ。いつだか私がこれの誕生日を忘れていたら無理矢理にでも祝わせてやると言いながら決闘をしかけてきた日のことを忘れない。私は勝ったし、準は泣いていた。

「わーかったわかった、アカデミアね、アカデミア……、ちょっと知り合いに連絡取るから待ってね……」
「フン、ようやくわかったか」

なんにもわからねえけど、とにかく私は携帯電話である電話番号を探す、えーと、え、え、ああ、あったあった。話してみると、彼もそのうち行くかもしれないとの事だったので、まあそれならと私も準について行ってみることにした。ふむ。学校で会えるのは楽しみかもしれない。

「オッケー、じゃああと頼んだよ」
「……今、誰と話していた?」
「面倒な手続きデッキの申請その他諸々任せたから」
「おい、待て」
「デュエルアカデミアでもよろしく」
「……………………ああ」

調べたら、女子は揃って女子寮らしい。安心だ。


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20190625:リクエストありがとうございました!「遊戯王gxの万丈目のギャグ甘夢」でした! 前々サイトで書いてた話のギャグばーじょんです……。ワンパンから獄都遊戯王まで…? なんてこったありがとうございます! 雑多な城ですが少しでも楽しい気持ちになって言ってもらえるように引き続きがんばりますー!

 

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