10万打おめでとう/了見、スペクター


「映画を観に行こう」

なまえが言い出し、了見とスペクターは一拍置いて頷いた。「よし」となまえもまた頷き返して彼らのくつろぐテーブルにタブレットを置いた。そうと決まれば、善は急げだ。三人とも、あまり、後回しにしたりだとか、しなければいけないと抱え込むのは好きではなかった。

「何か観たい映画があるのですか?」
「割となんでもいいけど、二人さえ良ければピカチュウ」
「いいんじゃないか」
「私もお二人が良いのならそれで構いません」
「なんかついでの買い物とかあるなら、その近くの映画館行くけど」
「特にはありませんが、ああそうだ、久しぶりにカードショップにでも行ってみませんか?」
「いいね」
「帰りに食料品をまとめて買うとなると、隣駅の辺りか」
「うん。十分後に出よう」

多分、一時からのに間に合うはずだから、となまえは笑った。三分で決まった遊びの計画を、それぞれがそれぞれの頭の中で反芻して出かける用意を開始した。
万事予定通りに進行し、乗った電車が遅れることも、おかしな連中に絡まれることも無く映画館に到着した。

「はい、ポップコーン食べる人」
「塩」
「キャラメル」
「半分ずつ入ってるやつね。私チュロスいっても許されるかな」
「許されるんじゃないですか?」
「ホットドッグ人数分」
「好きだねえ、それ……」

各自適当に飲み物を頼んだ後に、五番のスクリーンへと通される。やや前よりの列の中央あたりを三人で陣取り、真ん中にポップコーンを持ったなまえが座った。

「完璧」
「ああ、非の打ち所がない」
「我々の手にかかればこんなものでしょう」

言いながらも、了見とスペクターはなまえの前に度々手を伸ばし、買い込んだポップコーンを口に放り込んでいる。

「楽しみだね」

なまえの言葉に、二人は口の中のものを飲み込むついでに頷く。
帰り道、全員小脇にピカチュウのぬいぐるみを抱えていた。


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20190621:リクエストありがとうございました!「了見&スペクターとのほのぼの系」でした! ヴをこれからもよろしくお願いします、何卒、お願いします…。応援のお言葉までありがとうございましたー!

 

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