10万打おめでとう/遊作


そんな顔をされる筋合いはない、と思ったのだが、あまりにも見事な呆れ顔だったから、もしかしたら、こちらもやりすぎなのかもしれないと考えた。

「SNSを見守るくらいなら、おかしいことでは無いはずだ」
「いや……どうだろ……」
「度合いによるな」
「そうそう、度合いに」

Aiは、聞き飽きたからあとは任せた、と不霊夢に全てを投げてデュエルディスクに潜った。尊は曖昧に笑って、不霊夢は真面目な顔をして続ける。

「なまえはその件についてはなんと?」
「呆れていた」
「つまり、やめろとは言われていないのか?」
「そうだな」
「ふむ」

ただひたすら呆れられて、嫌そうな顔をされただけだ。昨日、遅くまで外で遊んでいたのなら、迎えに行くから呼べと小言を言った。こちらの世界もネットの世界も何が起きるかわからないのだから、と。不霊夢は確かにそうだ、としきりに頷き、不霊夢が頷く度に尊は何か言いたそうに不霊夢と俺とを交互に見る。

「お、おい不霊夢? お前何を言おうと、」

不霊夢は俺を見上げて言った。

「そのまま続けてもいいんじゃないか? 君の言う通り、何かあってからでは遅い」
「! ああ。なまえを危険な目に合わせる訳にはいかない」

俺が立ち上がると、尊が不霊夢をデュエルディスクに押し込んで何か言っている。

「ゆ、遊作? でも僕は、なまえとちゃんと話し合った方が……」

指の間から尊に文句を言っている不霊夢にそっと指を差し出す。不霊夢は、俺の指先をがっと掴んだ。お互い言いたいことはわかっている。

「ありがとう、不霊夢」
「いいや。礼には及ばないさ」

尊はなぜかため息をついて、「なまえ、ごめんね」と呟いていた。


(「ごめんなあ、なまえ。まさか不霊夢が事態を悪化させるとは」「……大丈夫、その内ちゃんとやめろって言うから。それにしてもなんで私アカウント特定されるの……?」「エッ、そりゃおまえ、遊作ちゃんがなまえのパソコンをハッ」「Ai、なまえに余計なことを吹き込むな」)
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201906:リクエストありがとうございましたー!「過保護な藤木遊作」でした!

 

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