10万打おめでとう/平行線の青春戦線


人間の恋は、進むだとか、停滞するなどと言う言葉で表現されることがある。ご多分にもれず、尊も、「最近は随分進展しただろ」と得意気であった。
藤木遊作や、草薙殿、Aiはその言葉に、素直に「良かったな」と笑っているが、身近で見ている私には、あまり良い状態には見えなかった。
邪険にされすぎて、感覚がおかしくなっているのかもしれない。

「君は、フラれたんじゃなかったか」
「な、なんだよ突然」
「いや、本来ならば慰めが必要な時間ではないのかと言う気がしただけだ」
「何言ってんだ。折角少し近づけたのに、落ち込んでる暇なんてないだろ?」

強がっているようにも見えないし、なんなら笑顔は力強く、どこか憎らしくもある。その自信に充ちた輝きは良いが、しかしやはり、私には、まだまだ前途は多難であると思えてならない。
全く腑に落ちないから、「そうか」とだけ返事をして、ディスクに潜った。そして、草薙殿の所へとメッセージを送信する。

「? 今なんかした?」
「気にするな」

尊がいつも通りにカフェナギに到着すると、まず藤木遊作に「お前なら大丈夫だ」と肩を叩かれていた。「え……、な、なにが?」尊は何がなにやらわからないという様子で、しかし状況を理解する前に、Aiにまで「まあ元気出せって! 女心と秋の空って言うだろ?」と言われてさらに混乱している。「はあ?」極めつけは、草薙殿からの「今度どうにかここに連れて来たら、めちゃくちゃサービスするからな」と言う言葉。

「不霊夢、お前、何か言っただろ」
「そうだな。いい仲間を持ったな、尊」
「適当に誤魔化そうとすんな!」

尊がなすすべもなく慰められている姿を見ると、少し落ち着いてきた。私は単純に、この光景が好きだったのかもしれない。


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20190524:
リクエストありがとうございました!「「平行線の青春戦線」の男子組の慰め会のシーン」でした!

 

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