20170703/△ゆゆゆゆ


ユーリは相変わらず、デュエルが好きだ。
好きが災いして悪名が轟く形になっているものの、ユーリに挑むデュエリストは後を絶たなかった。
挑戦者たちを根こそぎ打ち倒し、満足そうに腕を組む、その背中に声をかけた。

「ユーリ……、またそんな辻斬りみたいなことしてたの……」

柚子にも時折注意されるが「だって挑まれた勝負は受けなくちゃ、ね?」なんて聞く気はあまりないようである。振り返らなくても俺のことが分かったみたいで、目を輝かせて振り返る。
彼らは思った以上に物足りない相手だったようだ。

「ああ、遊矢か。遊矢もやっていく?」
「やっていかない」
「そう? ……それは残念」

その間は、無理矢理デュエルを仕掛けるか迷った間であると予測する。
「ほどほどにね」なんて言った後、「はいはい」なんて返事をするユーリは俺とは違う方向へ歩いていった。



ユーゴは相変わらずに元気だった。
何があったのか、あるいは何も無かったのか、足取り軽く上機嫌な背中に声をかけた。
彼に声をかける時は、小さい声だと気付いてもらえないことがある。

「おーい、ユーゴ!」
「融合じゃねえ! ……って、遊矢じゃねえか。いい加減間違えるなよ」

「間違えてない」と俺は本当のことを言う。怒って振り返ったのに、「え?」なんてユーゴはきょとんと首を傾げた。

「ほんとか?」
「ほんと」
「ならいーけどよー」

本当に「ならば良い」らしく、何も無かったみたいにニッと笑って見せた。こういう笑顔が一番似合っている。
「どこいくんだ?」とユーゴが言ったけれど、俺は何故かどこに向かっていたか忘れてしまって、上手く答えることが出来なかった。
気を付けて行けよ、と、なんてことない言葉がひどく有難い、そんな気がした。



その姿を確認できると安心する。そうだそう言えば、ユートには聞いてほしいことがあるんだった。
さっきまで何もかもぼんやりしていたのに、なんだか大人びたその背中に声をかける。

「ユート!」
「遊矢。今日も元気そうだな」

穏やかな声はやっぱり誰より落ち着いて、どこか頼りになるのがユートだった。

「もちろん! 今日は父さんのデュエル、見に行く日だからね!」

俺は笑って、ユートもそっと笑っていた。

「そうか、楽しんでくるといい」
「ユートは来ないんだっけ」
「ああ、俺はーーと、」

「え、だれって?」そう声をかけようとしたけれど何故かその空間から意識が上へ上へと離れていく。

「それって、誰、だっけ」

そんなふうに考えることが恐ろしいことの気がしてゾッとした。



上下左右が全部反転して、体が地面から離れて打ち上げられるような感覚の後、ぱちりと意識と体が覚醒する。
今、俺は、何人分の夢を見ていたのだろう。

「はあ………」

こういう夢を見てしまうと思い知る、俺達は、確かに別々の人間だった。


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20170806:ユズノハさん
ありがとうございました!! 遊矢シリーズでした!!! 遊矢シリーズだと思います!!!!
ユズノハさん大変こだわりがあるっぽいので提出するの大変恐ろしいのですがこれで提出します……。
よかったら、なんかこう、またよろしくお願い致します……。

 

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