20170703/△鬼道


夕暮れの商店街に、一人佇んでいた。
マネージャーとして買出しに出た妹に付き添って、しかし少しだけそそっかしいところのある彼女は「あ、あれ買い忘れちゃった!!」と叫んだ後、兄である鬼道有人をその場において店の奥へと入っていってしまった。
慣れない場所に、どうしたものかと立っていると、手に持つビニールの袋が擦れてがさがさと音を立てた。
そんな折、「あ」と、その音にかき消されてしまいそうな音量ではあったが、小さく届いた知った声に顔を上げる。

「珍しいところで会うな」
「っす……」

人の髪型のことをどうこう言える二人ではないが、傍から見れば飛鷹征矢と鬼道有人の組み合わせは、少しだけ不穏であった。
飛鷹は、数歩進んで控えめに鬼道に近付く、鬼道もまた、飛鷹の方へ向き直った。

「俺は春奈の付き添いだが、お前はどうした?」
「オレは、響さんに頼まれて」

「そうか」と当たり障りのない返事をする二人の間に流れる空気は、見た目よりずっと平和的だ。
お互いに、珍しいところを見られた楽しさと、見られてしまった気恥しさを持ったまま。けれど、年相応のぎこちなさにおかしなところは一つもない。

「……案外似合うな、こういうところ」
「……」

その自然さに先に気付いたのは飛鷹で、飛鷹の言葉を受けて鬼道は少し考える。
慣れないし目立つのではと思っていたけれど、商店街の一角において、確かに、不自然なことはひとつもない。今、ここにいるのは二人の中学生。

「そうだな」

鬼道が本当に安心したみたいに笑ったから、飛鷹も思わず笑ってしまって、驚くほど穏やかな空気がただ、漂った。

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20170802:莉音 さん!
この度はありがとうございました!!! 鬼道有人SSでした!!! 鬼道有人だといいなと思います!!! 飛鷹君を書いたのは趣味ですすいません許して下さい!!!
……鬼道有人になっていることを祈っています。
ありがとうございましたーー!!

 

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