20170703/△世界線違う遊戯さん


ある日心の奥で、目の前にボクが現れた。
もう一人のボクではなくて、これは間違いなくボクそのものだった。

「「君は……?」」

ぱちりと同じタイミングでそう言ったボクらは、同じタイミングで瞬きをしたあと、きっとまったく、同じような表情をしていた。
彼は(ボクは)、「君は?」と聞いたけれど、ボクはボクであり、きっと君と(ボクと)同じものだ。
まるで鏡を見ているみたいだけれど、届いて来る声は違って聞こえる。

「声が」
「わあ!」
「わあって、ボクは君だろ」
「それはそうなんだろうけど、ボクの声ってそんなかなあ」

それはボクも思っていた。
お互い声だけなら、同一人物とは確信できなかったかもしれない。一体どこのボクなのか。目の前のボクに聞いたってわからないだろう。ボク達は同じようにして首を傾げているし、考えていることも同じだと確信できる。

「君は、どこのボクなんだろう?」
「君こそ、一体どうしてここに?」

ボクと、それからボクはしばらく無言で、お互いをじっと見つめていた。
どうしようもなくボクであった。
あまり深く考えるのはやめておいた方がいいかも知れない。

「迷い込んだのはどっちかなあ」
「君が突然現れたんじゃないか」
「突然現れたのは君の方だよ」
「それなら、帰らなきゃいけないのはどっちだと思うの?」
「ボクに聞くのは間違ってるんじゃない?」
「うーん、それもそうか……」

ボクはボクなのだから、ボクが思いつくことはきっとこのボクも思いつく。お互いに意見交換する必要性は見当たらなかったし、生産性があるとも言い難い。

「それにしても、変な声だなあ」
「君の声だよ……」

ボクではない方のボクはしばらく考えて、何も考えていなさそうな顔で空を仰いだ。僕はこういう時、そんなに情けない顔をしているのか。

「ボクたち、どこへ帰るんだろう?」

いいや、帰る場所は決まっている。
方法もわかる気がしている。
でも、帰るべきはどちらで、去るべきはどちらなのだろう。
そもそもボクと、それからボクは。
自分が童実野町と思っていた場所は、自分だと思っていた自分は?
彼は(ボクは)一体ーー、

「相棒!!」

声がした。
二つの方向から二つの同じ声が、こちらに真っ直ぐ飛んで来た。
ボクらは当然のように声の方へ振り返って、そうしてそれぞれが違う方向に叫ぶのだ。

「「もう一人のボク!!」」

ボクは、このおかしな空間に別れを告げるために振り返った。ボクもまた、こちらを見ていた。
ただ、交わす言葉はもう交わしているような気がして、すぐに、魂のひかれるままに歩き出した。
どこに居ても誰といても、その呼び声は強く確かだ。
とうとう彼が(ボクが)どこから来たのかはわからない。


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20170724:1005 さん
ありがとうございます! 誕生日でしたーというわけで世界線が違う(?)遊戯さんたち(?)でした。1005さんの想像力が無限大すぎてなんと言うか思い描いていたものと違うものができてたらすいません。勘弁しておいてくださいm(*_ _)m
いやほんとに…申し訳ないです…。
こんな感じですがよかったらまたお願いします…。

 

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