祝20万記念(23)


「例えば、人間でなければどうだろう?」

最近できた、人ではない友達は誰よりも優雅にそう言った。人ではなければ。どうなのか。私は少し考えて、人ではないというのは、どの程度だろうと思った。人間ではない、という意味であれば、犬や猫だって候補に入ってくるだろうが、人間ではない人間のようなもの、という話になれば答えるべきことがまったく異なる。

「ああ、そうだね。私たちのようなものたちなら、という意味だよ。犬や猫は結婚相手に、わからないな。なるのかもしれないが、今回の場合、私の質問は、例えば、私たちのような存在が相手ならどうだろうか? と、そういう話だ」

なるほど。と私は頷いた。いや、しかし、どうなのだろう。結婚と言っても、人間でさえいろいろ意味合いが異なるというか、最終的な目的が異なるというか、私は結婚をしていないのでわからないが、人間であれそうでない何かであれ、結婚をするならば、共通の目的意識みたいなものが必要なのではないだろうか。そうすることで、得られるものが、きっと必要だ。道が同じであるならば、一人でも、人間と結婚しても、そうでない誰かと結婚したとしても、幸せだ。自分を幸せにできるのは、自分しかいない。

「ちょっとずるい質問だったかな」

「このままでは、君は一人で勝手に幸せになってしまいそうだ」それでは困ってしまう。と災藤さんは言った。そして、私の左手を取って、薬指の付け根あたりをするりと撫でる。「君の言う通りだね。君が、質問したことに対して、根拠もない話をするはずがなかった。本心を隠すのは得意だけれど。こういうことは、隠すべきじゃないね」例え君に怖がられたとしても、と続いた。
雪のような、清らかで温かい白色と目が合った。

「君が死んでしまった後も、君に隣に居て欲しいんだ。結婚してくれないか」


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20201107
草花さんから『災藤さんに求婚される話』でした!ありがとうございました!

 

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