祝20万記念(18)


身体が動かない。いや、正確には動くのだけれど、腰が回らない。ついでに、いろいろなところが筋肉痛だ。腕を動かしただけでも背筋のあたりが痛んだ。ええっと、昨日の夜はなにをさせられていたんだっけ。覚えていることはあまり多くない。「いいか」と熱っぽい視線で尋ねられたことと、頷いた瞬間人が変わったかのように激しくされたことしか覚えていない。私は必死にしがみつくばかりで、なにか奉仕をしたわけではない。ただ、そう、食べられていた。紅丸に、骨の髄まで、しゃぶるように貪りつくされ、朝を迎えてみれば体が重くて堪らない。
「はあ」とため息を吐くと、起きて着替えていた紅丸に顔を覗き込まれた。「おはよう」と言うと「おう」と返ってくる。やや申し訳なさそうにはしているが、動けないものはもうどうしようもない。

「加減」
「してる」

しているらしい。私はまた息を吐いた。加減されなかったら、私は喋ることすらできなくなってしまうのではないだろうか。紅丸は私とこつんと額を合わせた。しょんぼりとした眼差しが私を見つめている。

「なんか予定があったのか」
「うん。買い物」
「そんなもん、俺が一緒に行ってやる」

幼馴染の女の子と、予定があった。あったのになあ。この調子では絶対に無理だ。連絡しなければ。彼女は事情をよく知ってくれているから、余計なことを言わなくてもいいから気楽ではあるが、折角、予定を合わせてくれたのに、申し訳ない。起き上がろうとすると体が痛んだ。やっぱり無理だ。

「紅じゃなくて」
「……俺じゃ不満か」
「不満、とかでもなくて。たまには普通に女の子と遊びたい」
「俺じゃどうにもなんねェのか。それは」
「紅は女の子じゃないし」
「……まあ、女なら、いいか」

いいか、とは言うが、あまり良さそうな感じではない。そんなに真剣にされたら、顔が怖いとからかうこともできない。「いいけどな」

「すぐに帰ってこい」
「紅」
「行くなら、俺が気が済むまで。こんなもんじゃ済まさねェ。後から、絶対に付き合え。それでいいなら、どこにでも、誰とでも、行けばいい」

深く、口付けを落とされた。
あ、嫌な予感。

「紅、ちょっと、落ち着いた方がいいよ」
「俺はいつでも落ち着いてる」
「嘘だ。なら、なんで、私の服を脱がしてるの」
「お前が余裕そうだからだ。昨日は、加減しすぎたな」
「余裕じゃない」
「駄目な時は、昼まで起きねェだろ」

だからって、と抗議しようとした声は彼の口の中に呑みこまれた。はあ。あまり許し過ぎるのも良くないな。終わったら、三日間無視し続けてやる。猛省しろ。


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20201107
ジョナスさまから『新門紅丸、溺愛される話』でした!ありがとうございましたー!

 

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