15万打リクエスト(27)


呑気であると思う。根は呑気なのだ。だが、生きていく内に動いていないと気が済まないようになってしまった。だからこれは、超絶激烈ウルトラレアである。木にもたれ掛かってこれは杠の雑用でも手伝っていたのだろう。布と針を持ったまま(危ないから取り上げた)すうすうと寝息を立てている。
こんなところを、ゲンに見られなくて良かった。あいつならばこっそりキスくらいはするだろう。俺のであることはわかっているはずなのだが、どうにも油断ならない。なまえもまた、ゲンを気に入っているらしいところもどうにもならない。まあ、あいつは昔からああいう裏のありそうな奴に気に入られがちだ。なまえ自身が裏も表もないから安心するのだろうということは、裏も表もない幼馴染の多い俺にはよくわかる。
うたた寝をするなまえをしばらく見つめてそっと隣に座り込んだ。

「いつもそうしてりゃいいのにな」

言ってから、いや、いつでもどこでも根っこの通りに呑気にされたら、メンタリストに付け入られまくるだろうと思い直し、それもほどほどにしておいてもらわなければ困るなと気が付いた。「まあ」最終的には、なにがあったとしてもなまえの好きにしたらいい、と俺は思うのだろうが。

「俺も寝るかな」

仮眠は大切だ。集中力を維持するのにも、身体の疲れを取るのにも。倒れてしまっては元も子もない。
俺はなまえを抱き寄せて、じわりと体の半分が温まっていくのを感じる。その内なまえから移ってきた熱は全身を巡って同じような温度になる。実際にはそうはなっていないのだが、俺となまえとが一つの個体になったような繋がりの深さを感じる。なまえは起きたら驚くだろうか。驚くだろうが、驚くだけだろう。「びっくりしたあ」と間抜けな顔で言う姿が鮮明に想像できて笑ってしまう。

「起きたらまたひと頑張りといくか。なァ、なまえ」

返事はない。しかし返事を貰ったような気持ちになる。俺はそのまま目を閉じて、なまえと仲良くしばらく眠った。なまえは俺の想像通り、起きると「びっくりした」と目を丸くして、その後へらりと笑って見せた。俺はあまりの満足感に、笑うなまえに噛みつくようにキスをした。お前も、同じ気持ちになりやがれ。


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20200704:
リクエストありがとうございました!志樹さんから『千空とうたた寝(お昼寝)』でしたー!

 

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