15万打リクエスト(23)


人当りは良い。普通に喋らせてもどうしてか丁寧な言葉を使う。そして何より、どこからどう見ても無害に見える。どういう生活をしてきたらそうなるのかわからないが、何かに夢中になるとやや幼くもなる。

「炎ってそんな風にもなるんですね」
「ふッ」

アーサーの能力を見ては「へえ」と寄って行って興味津々に刀身を覗いている。「すごいなあ」となまえは素直に感心し、アーサーも素直にそれを受け取っている。かと思えば、シンラのブレイクダンスとやらを見て「最初にこうやって動こうと思った人は何考えてたんだろうね」と言ってシンラを困らせていた。
タマキの傍ではあいつの特性?みたいなものを阻止するためにどうするべきか一緒に悩んでいた。

「なまえさんッ、女子力のあげ方教えてくださいッ!」
「あ! 私も聞きたいです!」
「ずるいぞ二人とも! なまえさん、私も!」

「えっ」なまえはぴたりと動きを止めて三人の女を見つめ、一人ずつを上から下まで見てから「私より全然、女子だと思うけど」と言った。三人に更に詰め寄られ「そもそも女子力とは何か」という疑問が湧き上がり、ただそれについて答えを探すだけの会になっていた。
それからも第八の中隊長、大隊長に何やら声を掛けられ受け答えをしていた。それが終わるとようやくこちらに帰ってきて、俺と目が合うとにこりと笑った。上機嫌だ。いろんな人間と話ができて楽しかったのだろう。
俺は喉元まで出かかった「お前は俺のだろうが」という言葉を飲みこむ。

「楽しかったか」
「はい。面白いひとばっかりで」

本当はずっと隣に居ればいいという気持ちを漏らさないように注意する。

「お前は、俺の恋人だな?」

注意はした。

「え、はい。そのつもりです」
「なら、しばらくそこに居ろ」
「? はい」

幸いなまえは気付いていないようで、俺の隣にすとんと腰を下ろすとぼうっと空を見上げていた。そしてその横顔を俺が眺める。その内視線に耐えかねたなまえがまたこちらを見る。

「どうしました?」
「いいや。ここにいるな、と思っただけだ」

なまえはまた首を傾げて「はい。ここにいますよ?」と笑った。「そうだな」

「そうだな。お前は」

俺の隣にいるんだな。と、改めてそんなことを考えて、さらりとなまえの頬を撫でた。


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20200704:
リクエストありがとうございました!藤ringoさんから『紅丸さん視点で夢主と第8メンバーの絡み話』でした。

 

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