生き方について/エクボ
何が起きても前向きに捉えられる時もあるし、かと思えば、何も起きなくても沈んで沈んで仕方が無い時もあるよね。と、なまえは言った。
隣で聞いていたエクボは、少し考えた後に「今は?」と聞いてみた。
「今は、天気がいいし気温があまりにちょうどいいから寝てたいんだけど、それをしたらあとから後悔するだろうなあって考えてる。爽やかに下向き」
「……まあ」
人間だしな、とエクボは淡々と口にした。しかたないだろ、とも。
なまえはそんなエクボを見上げてから、意を決して手に持った本のページをめくる。
「寝ないのか?」
「寝ない」
エクボはなまえの言うことをなんとなく理解出来ている。なまえも、なんとなく理解されていることを感じ取っているだろう。
だから、どうしたらいいか、と言いそうになる口を閉じて、目はひたすらに文字を追いかける。どうするべきか、そんなことを、エクボが応えてくれるはずはない。いつもの調子で、「好きにしたらいいだろ」と言ってくれるに決まっていた。
「寝そうになったら、叩き起してくれる?」
「おう。まかせとけ」
きっとこの本を読み終えたら、前向きな気持ちになれるだろう。エクボはぐっと拳を握ってなまえに見せた。
「そう決めたなら、そう出来るように動いてやるよ」
俺様は暇だからな。と、なまえはその言葉に救われて。
エクボの姿と存在を確認すると、やっぱり私には人間じゃ無理かも、と、ぼんやり思ってしまうのだった。
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20190426:人間でないことがプラスに動くことを考える。