雑談A/無免ライダー


その指輪にはすぐに気付いた。
きらきらと輝く、きっとなかなか上等なもの。

「あの」
「ん?」
「どうしたんだい、それ」
「ああ、これ? 衝動買い」
「買ったんだね」
「そうあからさまにほっとしてるのをみられると正直嬉しいけど、ほかの誰かにもらった指輪をあなたの前でしてくるような女に、もしかしたら見えているのかなあ……」
「ははは、そんなはずないじゃないか。ただ、やっぱり少しだけ、ね」
「いつものきまぐれだよ。ごめんね」
「そんな、謝ることなんか……」
「友達に誘われて見に行ったら、なんていうか、つい、うっかり?」
「うん、衝動買いだね」
「でもほら、きれいだから」
「うん、とても。女の子が集まると、その、やっぱり、そういうのをプレゼントされたいって話になったりするのかな」
「あー、どうかなあ。少なくとも私を誘った子は趣味に合わない高いものほど扱いに困るものはないからって」
「……君も?」
「どんなものでも、なんて大袈裟にはできないけど、大体のものなら嬉しいよ」
「そっか。君らしいね」
「まあ、私だからね」
「なまえ?」
「ん?」
「……僕もいつか」
「へ?」
「あ、えーっと、なんでもないよ、気にしないで」
「んー? なんかちょっと惜しいような……、まあいいかなあ」
「あはは」
「もしかしたら、ヒーロー稼業に忙しくて、それどころじゃないかも知れないし」
「えっ!?」
「いやあ、でも私は好きだよ、無免ライダー」
「あ、う、あの、あ、りがとう」
「うん」
「僕も、君が好きだ」
「………うん、ありがと」

まるでこの関係みたいだ。
そんなふうに思った。


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20160330:時間が取れない
 
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