そんな感じでよろしく:2


なまえがドラルクを訪ねてくる頻度は城があった頃に比べれば若干減ってしまった。けれど、長い時を生きる吸血鬼にしては頻繁に、なまえはゲーム機を持参して訪れる。ジョンも混じえてトランプをすることもあるし、二人と一匹で仲良く散歩に出かけることもある。
ロナルドは羨ましそうに見ているが、なまえの手前混ぜろとは言いづらいようだ。ただ、混ぜて欲しいオーラが滲み出ているので、なまえもまたロナルドをどうしていいかわからないでいた。
今日もまた、こそりとドラルクに相談する。

「ロナルド君はいいのかな」
「君もしつこいな。混ざりたければ自分から言いに来るだろう。子供じゃあるまいし」
「いや、あれはもう混ざりたいと言われているような」

なまえがちらりとロナルドの方を見ると、ロナルドは慌てて目を逸らして自分のPCに視線を落とした。が、忙しなく動く視線と、ちらちらかち合う。
ジョンも気にしている。ドラルクは気にしていないし、なんならロナルドに混ざってほしくなさそうだ。なまえもやはり、家主を邪険にするべきではないと判断し「ロナルド君」と最近知り合ったばかりの退治人の名前を呼んだ。

「ひゃい!」

やや空気の抜けた返事の後、背筋をぴんと伸ばして立ち上がり、その状態のままなまえの近くまで来た。ジョンは怖くて泣いているし、ドラルクは不快のあまり死んだ。

「あの、なまえさん?」
「いや、ごめんなさい、面白くて」
「面白い!? おぞましいの間違いだろう!」
「面白かった……ですか? ええと、こう?」
「あはははは」
「やるな! そして面白がるんじゃない! 調子に乗っちゃうから!」

ひいひい言いながら笑ってるなまえに希望を見たのだろう。ロナルドは得意げに胸を叩き、きらきらした目で宣言する。

「今度から、なまえさんに呼ばれたらこれで登場します!」
「ほらもー!」
「それはやめておいた方がいいと思うけど」

なまえは目に浮かんだ涙を拭いながらサラリと言った。言葉の内容となまえの先程までの反応が噛み合わずロナルドは「えっあっ、え……?」と困惑している。なまえはさらりとジョンを撫でて、ドラルクを一瞥した。

「ジョンもびっくりするし、ドラルクは死んじゃうしね」

ちょっと面白いと言われたくらいで、調子に乗らないことだ。ドラルクは得意げに鼻を鳴らすとロナルドの舌打ちの勢いで殺された。


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20211115

 




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