64 私について


決めたことがある。
もう逃げるのも楽な道を選ぶのもやめる。
1番幸せになって欲しい人がいる。
その人を、私が幸せにする。

「……」

鏡の前に立つと、一人の女がそこにいる。
それは、私。
私の名前はなまえ。
街の家電修理屋で、忍びの里の出身だ。
少しだけ勘鋭くて目が良くて、センスがいいだけの普通の忍者でもある。
最近たくさん友達ができた。
主婦の人たちに、女子小学生。
怪人の男の子に、超能力姉妹。
多分人類最強なんじゃないかって言うヒーローと、真っ直ぐすぎるサイボーグ。
幼馴染みもいる。
一緒にいすぎて、特徴を言うのが難しい。
今でも、私の体の一部みたいな大切な幼馴染みだ。
好きなことはゲームと機械。
それから料理に温泉に、いろいろある。
性格は、どんなだろう。
あまり優しくないと思う。
顔も、すごくいいとは言えなくて。
けれど割と自由に生きてる。
時間も自由に使える、この生活は気に入ってる。

「うん……」

恋をしたことがなかった。
選んだこともなかった。
ただ楽なものがよかった。
けれど、悪くないのだと気付いた。
一緒に居るということは、悪くないことなのだ。
楽しい方が良い。
いろんな人と関わると、面白いことがたくさんある。
すごいひともたくさんいる。
痛いのもつらいのも好きじゃない。
でも。
まだ、私は、なにもしてない。
だから、選ぶ。
無難な道じゃなくて、一番楽しめるところを。
そして私が本気になれる道を。
これからは、手を抜かないし、もっと、良い方へ。
本当に、
待たせてごめんなさい。
今日この瞬間まで待っていてくれてありがとう。
心の中がひどくざわつくようで、あるいはとてもしずかなような。
明日へすごく期待するような、明日がすごく怖いような。
いたいような、気持ちがいいような。
浮つくような、足が地面にうまくついていないような。
自分ではコントロールできない。
でも。
もう、決めた。

「よし、行こう」

どうか、どうかどうかどうか。
お願いします。
幸せに。


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20160226:なってほしい? なりたい?
 
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