peace or peace(0)


少女はたったひとりで立っていた。
正方形の部屋。
窓はない。
暑くもなく寒くもなく。
床は赤色。
壁も赤色。
天井も赤色。
いいや、あれは床かもしれない。けれど彼女は自分が足をついている方が床であると判断する。
足も、ところどころ赤い。
視界に映る胸のあたりも。
こんな日に限って真っ白な服を着ているのである。赤が目立って仕方が無い。
けれど、その赤もやがて少しずつ広がって、服の中心から外側へ。
腕を持ち上げれば、服から露出する肌すべて。
指先から爪まで。
どうにかしたいと望むのに手も足も動かない。
動かすことが出来ない。
もし、動いていたとしても、それを確認する手段はない。
床の、壁の、天井の、すべての赤と混ざってしまって、どこからどこまでが自分の体かわからない。
どれが、どこが、自分の手だったか?
思考できることが救いであり、そして絶望でもある。
何も考えられなければ、この状況も楽しめたかもしれないのに。
少女は、声を出す。

「たすけて」

届きはしない。
ただただ赤い。
赤い、赤い、赤い。

「たすけて……っ!」

あか。

「助けてやる」

なまえの視界には、影のような、闇のような男が1人、映っていた。
なまえは、その男の言葉を聞いて、自嘲気味に笑ってみせる。

「これ全部、お前がやったのに?」

あか。
みんなみんな、この赤に沈んでしまった。

「お前に助けてもらうくらいなら、死んだ方がいいや」

少女は、たったひとりで立っている。


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20160806:気分悪くなったらすいません
 
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