悠久の時は壁 「いったたたぁ!痛い、いたいっスよ!」 ジローが銀の髪に事務用の輪ゴムを絡めていた。 本人はちょんまげを作ることが楽しくてたまらないのか、後輩の悲痛な叫びも届いていない。 「おい」 「なに?宍戸。まさか長太郎は俺のだとか言わないよね?たまには遊ばせてよ」 「……」 「痛い……ししどさぁん……」 宍戸は悲しげな小犬の瞳から視線を逸らした。 「ジロー。中庭行こうぜ?膝枕してやるよ」 「えー!マジ!?行く行く!!」 俺、亮ちゃんの膝枕好き〜。 ジローは宍戸の腕に絡みつくとそのまま部室を後にした。 「…宍戸さん…」 1年遅く生まれてしまった。出会って1年も経っていない。 非力な自分が恨めしい。 End. 前 次 Text | Top |