◇短編 | ナノ



所有物だと確認したい衝動

すでに勝手知ったる鳳の部屋。
宍戸はさっき、暖房の設定温度を弄っていた。
あっついな。
けれど宍戸は寒いのだろうと思い、鳳はカーディガンを脱ぐことにした。

しばらくして姉に少し降りて来いと呼ばれた。
鳳は宍戸に謝ると、宍戸は気にした風もなく手をしっしと振った。



そして。
鳳が部屋へ戻ると宍戸が寝ていた。
鳳のベットでうつ伏せになり、どうしてかその下に鳳の脱いだカーディガンを広げ、顔も身体もそれへ埋めて。

「……」

可愛い。
鳳にはよく分からない奇行だったが、その姿はあどけなくて無邪気で、愛しさがこみ上げてくる。
鳳はベットに近寄り肘をつくと、飽きることなくその寝顔を見つめ続けた。




End.





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