僕しか知らないこと、君にだけ教えること 部活帰り。 木に囲まれた公園の一角に置かれたベンチ。 会話が途切れ、夕日の赤さに気づく寂しさ。 ふとした瞬間。 キスの呪縛に囚われる。 重なる唇は馴染むようにできている。 上唇を舐め、下唇を甘噛みする。 緊張の解かれた舌を口に含み吸いあげると、耳に届く甘い声。締めつけられる腕の筋。 深く夢中になりたいというとき、一つ年上の恋人は理性的だ。 頬を手のひらに包まれて、名残り惜しくも唇は離れていった。 「これ、好き」 こうして伝えてくれるのは、あなたの理性を飛ばしてもいい合図でしょうか? もう一度差し出された舌の赤さに、底なしのように落ちていく。 End. 前 次 Text | Top |