◇短編 | ナノ



愛が生まれた日 滝編

ふう、ちょっと休憩。
長太郎、休憩取るよ、こっちおいで。



あれ?おまえまた背伸びた?
なんか見上げる角度が違う……。
樺地に追いつきそうだなぁ、ふふ。

レギュラーの練習、キツイだろ?
まぁ、慣れるまで大変だけど頑張れよ。


……え?
宍戸?

さぁ。学校には来てたけど?

うーん。あのテニス馬鹿がサボるとは思えないけど。
その内来るだろ。





……長太郎ってさ、宍戸好きだよね。


おい、落ち着けよ。
そんな慌てることないだろ、本当のことじゃないか。
長太郎が宍戸に懐いてるのなんて誰が見たってわかるよ。

うん。懐いてるだろ?


………だよな。

まぁ長太郎は誰にでも懐くよな。
先輩受けもいいし。

けど、宍戸は後輩から敬遠されがちだろ?
だから目立つんだよなー。

長太郎がまとわりついてるとさ。


最近じゃ宍戸も長太郎のところ来るしね。
フォーム見てくれるんだろう?

そうそう。
厳しいけど良いコーチだよな、あいつ。

やさしい?
そうかなぁ〜。
長太郎が宍戸を見る目にはフィルター掛かってるとしか思えないよ。まったく。

照れなくてもいいよ。
そんな風に慕われるのは宍戸だって嬉しいだろ。
これからもあいつと仲良くしてやってよ。
宍戸にとっては懐いてくれる数少ない可愛い後輩だしな。


…さぁて。練習再開しようか。




あ、宍戸。


……じゃなかった。
ごめん。見間違いだったよ。

ふふ。
長太郎、今すごい驚いてたね。



それじゃ、向こうのコート行って。






……長太郎の恋はどうなるんだろうなぁ……。




ん?いや、何も言ってないけど?

ほらほら。
あっちのコート行けよ。




End.

蠱惑的なセンパイとダブルス時代にて。





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